第166幕
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「っ……!?」
『どうした?』
「い、いや、なんか今すっげぇ寒気がしてよ」
ぞわりと感じた寒気に銀時は身震いして己の身体を両手で抱きしめる。お茶を飲んでいた海が不思議そうな顔をしながら首を傾げ、湯のみをテーブルに置いてソファから立ち上がった。
椅子に座る銀時の前へと歩み寄っては、銀時の額へと海は自分の額を合わせる。その行動に銀時の心臓が早鐘を打つが、素知らぬ顔で海を見つめ返した。
『熱は無さそうだな』
「そ、そう!?」
『ん、今日は早めに寝とけよ。風邪の前触れかもしれないだろ?』
「お、おう……そうするわ……」
体温を測り終えた海はゆっくりと銀時から離れていく。去っていく温もりが名残惜しくて、銀時は海の手を掴んだ。驚いた顔をした海が「どうした?」と聞いてくる。銀時はそれに答えずに掴んだ手をぐっと自分の方へと引き寄せた。
『銀時?』
「寒いからちょっと側に居てくんねぇ?」
『それなら布団にいけよ。やっぱお前、風邪ひいてるんじゃないか?』
心配気な表情の海を抱きしめる。銀時の足の間に片膝を乗せ、銀時の頭を抱えるように抱き締め返してくれる海。
海の胸へと耳を押し付ければ規則正しい心臓の音。海の生きているという証を聴きながら銀時はひっそりと目を閉じた。
『銀?』
無言で抱きしめていると海が、くんっと髪を引っ張った。大丈夫だよ、と伝えるために海の背へとまわした手で優しく撫でる。
「なに?」
『……今日は甘えん坊か?』
「たまには、な?」
『そう……なら沢山甘やかしてやんねぇとな』
そう言って緩やかな笑みを浮かべる海に銀時も笑い返す。
突然感じたあの嫌な感じは何度か経験しているもの。自分と同じく海を大切に思っているヤツからの牽制。どこをほっつき歩いてるのか分からないような男から向けられた殺意に銀時は胸中でほくそ笑んだ。
もう海は独り身ではない。海の隣はもう空いてはいない。
「(残念だったな、クソチビ)」
次会った時はどうバカにしてやろうか。どういう風にからかってやろうか。
そんな事ばかり考えながら海を強く抱き締めた。
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