第73幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「てめぇはあの新しい武器とかってのは使わねぇのかよ」
『俺は普通の刀は使いこなせない。この刀だけで十分だ』
鍛冶屋までの道すがら、ふと土方に問いかけられた。山崎や総悟の刀を見ていたのを知っていたのだろう。もしかして羨ましそうに見ているとでも思われたのか。
屯所に持ち込まれた新種の武器に関しては一応目は通してある。だが、どれも使えそうだと思えるようなものではない。前回近藤に渡された刀ですらたった一回の実働では刃をダメにしてしまった。
きっとこれから先どんな武器が出たとしても月銀以上に使える武器は無いだろう。あの刀は馴染み過ぎた。それなのに刀を打った人間も鍛冶屋の場所も分からない。ただ分かるのは先生がくれたということだけ。
『…………月銀』
「あ?なんか言ったか?」
『いや、なんでもない。それを言うなら土方こそなんで使わなかったんだ?今の刀が直るまでの間使ってればよかっただろ』
「あんなもん使えるか。何が防水加工だ。変なもん付けられた刀なんざ要らねぇ。俺にとっては刀は刀でしかねぇ」
『まぁ、そうなんだけどな』
鍛冶屋に着くなり土方は職人と話し込み始める。聞いていても邪魔になるだけだろうと思って、海は外に出て空を眺めていた。
『今日も空が青いなぁ……あいつら何してんのかな』
定春に似た雲を見つけて微笑む。
先日、風邪を引いたからと看病しに行ったきり会いに行っていない。丸一日銀時たちを看病していたせいで仕事が溜まりに溜まっていたのだ。それの処理に追われていて会いにいく時間なんてなかった。
しかも看病していた間に風邪をもらってしまったらしく、海も数日寝込むことになったなんて彼らは知らないだろう。
「悪いな待たせて」
『大丈夫……なんかおっさん呼んでるけどいいのか?』
「いい。ほっとけ」
『あ、そう。それ借りたのか?』
土方の腰にある刀。先程まで持っていたものとは違う所からして、鍛冶屋の職人が代わりにと貸してくれたものなのだろう。
「……あぁ、拝借してきた」
『今の無言はなんだ?妙に間があったな。まさかお前勝手に持ち出してきたわけじゃないだろうな』
「あ?んなわけねぇだろ、ちゃんと一言借りると言った」
『許可もらったのかそれは。ただ言っただけじゃそれは強奪と変わらないだろうが』
「言ったって言ってんだろうが!一々細けぇなてめぇも」
細かいも何も後ろで職人が持っていくなと言っているから聞いているのだ。
人様のものを勝手に持ってきたとなればそれは盗みになる。警察が盗みを働いたなんてシャレにならない。
『土方、今からでも返してこい』
「あ?大丈夫だって言ってんだろ。しつけぇ」
『犯罪者になりたくなければ返して来いって言ってんだよ』
「誰が犯罪者だ誰が!!」
『お前だよ』
.