第72幕
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『なんでこうなった』
浮気調査の結果を報告し、幸せそうな顔をしながら帰っていく夫婦を見送った後に部屋へと戻ると新八と神楽がダルそうにソファにもたれかかっていた。何となく嫌な予感がして、二人の額に手を添えればじんわりと熱い。
『お前らも寝ろ!』
あの雨の中、傘も差さずに動き回っていれば風邪もひくだろう。銀時の隣に二つ布団を敷いて新八と神楽を寝かせる。何事かと起き上がった銀時の頭を枕へと押し戻し、三人大人しく寝たところで部屋を出た。
『はあ……手のかかる奴らなことで』
あれやこれやと手を尽くしてやっと一息つけた時にはもう日付が変わっていた。
三人分の食事の作り置きを冷蔵庫に入れてソファに腰かければ一気に疲労が押し寄せる。昨晩は書類整理してたこともあってまともに寝ていない。そのせいで疲れも強く出たのだろう。
何とか繋いでいた意識もやがてプツリと切れて、一人夢の中へと落ちていった。
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
「ふわあぁあぁ……あー……よく寝たわ」
差し込んできた陽の光が眩しくて目を開ける。大きな欠伸をしながら起き上がると、横ではすやすやと寝ている新八と神楽。なんでこの二人がここにいるのかと首を傾げるが、その理由がパッと頭に浮かびあがり、すぐさま居間の方へと駆け込んだ。
『おはよう。もう熱は下がったか?』
「あ、ああ……」
『飯食えるなら食っとけよ?昨日、まともに食えてなかったみたいだから軽いものにしといた。新八と神楽もまだ熱あるみたいだからまだ起こすなよ?』
エプロン姿で台所に立っている海が淡々と喋る。台所へと近寄るとふわっと香る美味しそうな匂い。
「海……」
『なんだ?飯食べるか?』
「まさか今日泊まってくれたのか?」
『三人とも動けないのに帰るわけにはいかないだろ。お妙さんの方には連絡入れてあるから気にすんな。一応見に来るとは言ってたけど』
「悪い、何から何まで」
『勝手にやってる事だから謝ることは無い。それより体調は?熱は下がったか?』
皿洗いをしていた手を止め、海は銀時の額へと手を伸ばす。ヒヤリとした手が気持ちよくて、その手に擦り寄るように顔を寄せれば、海は小さく笑った。
『まだ高そうだな。今日も寝てた方がいい』
「ん、そうする」
優しく頬を撫でられる。いつもならこのままキスしてるところだが、今はそんなこと出来ない。海に風邪を移すわけにはいかないから。
だから今はこれで我慢しよう。
『銀時。これじゃ熱上がるぞ』
「少しだけ」
『ったく……風邪は人肌恋しくなるって?』
くつくつと笑われながら銀時は海の背中へと腕を回す。自分の背中に回った手は優しくあやすように撫でてくれる。
「海、ありがとな」
『どういたしまして』
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