第72幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お兄ちゃん、お腹空いたー」
「僕もー」
「私もー!」
『あ?腹減っただ?』
銀時を寝かしつけてから部屋の方へと戻れば、子供三人衆が海の姿を見つけて目を輝かせる。彼らの目線に合うようにしゃがむと、嬉しそうに笑いながら口々にお腹空いたと言われた。まるで雛鳥だ。親鳥はそれどころではないみたいだけど。
『何が食べたい?』
「ホットケーキ!」
『いや、それは飯じゃねぇだろ……』
「ホットケーキ!ホットケーキがいいー!」
『あー、分かった。作ってやるから!だから服引っ張るなっての』
ぐいぐい隊服を引っ張る子供を宥め、台所へと向かう。この家にホットケーキを作れるだけの材料があるのか怪しいのだが。
『薄力粉なんてあったのか……』
戸棚を開いて中を見るとぽつんと置かれた薄力粉。まだ使われていないのか未開封品。もしかしてお菓子を作るために買い置きしてあったのだろうか。その横にはきちんと膨張剤も置いてあった。
『……お菓子作りには抜かりはないってか。どんだけだよ』
それらを手に取って台の上に置く。その間も海の足元に引っ付いている子供たち。火を使うから離れてた方がいいと言ったのにも関わらず未だにここに居る子供に苦笑を浮かべた。これは母親も大変だろう。
足りない材料は携帯で山崎を呼び出して買ってきて貰い、子供らのおやつと共に銀時たちの夕飯も作り置きしておく。
「これおいしー」
『そりゃ良かったな』
「お兄ちゃん変な顔ー」
「変な顔!?俺変な顔してるんですか副長補佐!」
『さあ?まあ、ホットケーキ食べたそうにはしてるか』
「え゙」
『屯所戻る前に山崎も食べていけよ。ここまでわざわざ来てくれたんだし』
夕飯を作っている最中、山崎はずっと子供らの相手をしてくれていた。おかげで海は邪魔されずに済んだのだ。動いた分腹もすいただろうしとホットケーキを出してやれば、山崎は子供と一緒になって食べ始めた。
「補佐!これ美味しいですよ!」
『わかったから。黙って食え』
「はーい!」
子供のように返事をする山崎に呆れつつ、足りない分を焼いてやった。
.