第72幕
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「海さーん!」
山崎に声をかけられて海は障子の戸を引く。外では山崎が雨の中ラケットを振っていた。
『なにか用か?』
「新八くんが屯所前でお待ちです!」
『新八が?』
「はい!」
にこりと笑う山崎に苦い顔を浮かべる。どうせまた銀時が何か問題を起こしたのだろう。だが、今日は書類が溜まっているから外には出られないし、わざわざこんな雨の中を出たくはない。
『悪いが今日は帰ってもらうように言ってもらえるか?』
「あれ、行かれないんですか?」
『俺はあいつらの保護者ではないからな。毎回呼び出せば、ついてきてくれると思われても困る』
「わかりました。じゃあ新八くんには帰ってもらうように言いますね」
『おう、悪いな』
屯所の門へと走る山崎の背を見送ってから障子の戸を閉める。書類の続きをと筆を取った瞬間、また外から山崎の声が聞こえた。
「海さん……」
『今度はなんだよ』
「万事屋の旦那が風邪ひいたそうですよ」
『そうか。お大事に』
「えええええ、海さんお見舞いに……看病しに行ってあげないんですか!?」
『なんでそうなる。言っただろう、俺はあいつらの保護者ではないって』
これ以上話すことは無いというように障子を閉めようとしたのだが、それを許さないとでも言いたげな山崎が障子を掴んで開けてくる。
「でも行ってあげてくださいよ!!」
『俺には俺の仕事があるんだよ。あいつらにばっか構ってられるか!』
「だって海さんは旦那の嫁じゃないんですか!?」
『どういう意味だそれ』
山崎の言葉に障子を閉めようとした手から力が抜ける。
「だって万事屋の旦那が言ってましたよ?海さんは俺の嫁だから手を出すなって。副長に」
何故土方に釘を刺す必要があるのか。直属の上司になった人間だから?前回、ミツバの件で土方には散々振り回された。それで銀時は土方に釘を刺したのかもしれない。でも、それならもっと別の言い方があっただろうに。
『なんで嫁とかわけわかんない言い方すんだよあのバカは』
「別に間違ってはいないじゃないですか。万事屋の旦那と付き合ってるのは確かなんですから」
『付き合っているだけで夫婦関係になったわけじゃない。公然と嫁発言されんのは違うだろ』
「でもあれなら誰も海さんに手を出そうとは思わないですよ。副長も固まってましたし」
『だからなんで土方に言う必要があるんだよ。アイツに言ったところでだろ』
そう言った海に山崎は驚いた顔をしたのち、何か考え込むような仕草。
「え、まさか副長補佐気づいてないんですか?」
『何を』
「副長が副長補佐のことを……あ、いや、なんでもないです。それよりも早く万事屋の旦那のところに行ってあげてください!残ってる書類は俺がやっておくのて!」
何か言いたげな顔で山崎は海のことを部屋から追い出す。まだ話は終わっていないと返したかったが、あれよあれよと外へと連れ出され、新八の元へと行かされた。
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