第71幕
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「ふむ……では、坂田弁護士は覗きをしていたわけではないと申すのだな?」
『はい。そのように私は意見させて頂きます』
「そうか、それならばこの件は長谷川 泰三の事件とは無関係とし、破牙検事の言葉はなかったものと──」
「お奉行、お待ちください」
破牙はこちらを見て気味の悪い笑みを浮かべる。その笑みの意味はなんとなく分かった。
「彼、桜樹 海は坂田弁護士と親密な関係にあります。そのため、坂田弁護士の肩を持つためにこうして話に割って入ってきたのでしょう。坂田弁護士と貴方は恋仲なのでしょう?それならば彼を庇う理由になりませんかね」
ああ、やはり身辺調査をされていた。
それは別に気にすることでは無い。どうせ面会室の前で会った時に交わした会話が気に食わなかったのだろう。それで海の周りを調べあげた。
そうなると銀時と長谷川、そして海の三人が繋がっていることがバレただろう。長谷川を無罪にする為に警察内部で書類の改ざんをしたのではないかと言われそうだ。
『確かに彼とは──』
「異議あり!確かにそこにいる桜樹 海と自分は親密な関係持っておりますが、それと彼の仕事とは全く関係がありません。その事実、私は彼に屯所での取り調べを受けている事があります。例え、恋仲だったとしても彼の仕事は公私混同を起こすようなことは一切ありません」
海の言葉を遮るように銀時が精一杯吠える。その声色は怒気が含まれており、破牙は多少なりとも怯んだようだった。
「副長補佐殿。真選組にて作成なされた書類は今現在どちらに?」
『屯所にて保管されております。必要とあれば今すぐにでもこちらにご用意いたします』
「確かにあるのですね?」
『はい。間違いありません。もし私の発言が虚偽の申告だと分かりましたらこの首、いつでも差し出しましょう』
間違いも何も無い。その書類を作成したのは海自身なのだから。土方に確認の判を押してもらったあと、その書類はファイリングして保管庫に置いてある。
「なっ、おい!」
役人へと頭を深々と下げると銀時が慌てた様子で海を見る。役人は近くに控えていた者に耳打ちしてどこかへと向かわせた。
「その書類に関してはこちらで確認を取るとしよう。副長補佐殿には暫しこちらに居てもらうことになるがよろしいかね?」
『御意に』
「お、おい……海……」
『自分は嘘偽りなく発言しています。坂田弁護士はそのまま長谷川 泰三の弁護を引き続きお願い申し上げます』
銀時に向けて一礼し、海は元いた場所へと下がる。銀時も渋々という感じに立ち上がりかけていた足を元に戻した。
『面倒な検事だな。まあ、今回は相手が悪かったな』
こういうことを何回もやってきたのだろう。弁護人の弱みを掴むことで弁論を遮り自信を無くさせる。そうやって勝訴していたのだ。
だが、今回はそう上手くはいかない。
なんせ銀時と自分がいるのだ。そんな回りくどいことがまかり通ると思わないで欲しい。
『銀時は引っかかりそうだったけども』
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