第56幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いらっしゃいませ!餡泥牝堕へようこそ!こちらメニューになります。どうぞ」
『ありがとう』
「い、いえ!ご注文はありますか?」
『じゃあロイヤルミルクティーと、このパンケーキで』
「かしこまりました!!」
備え付けのメニューはどれも色鮮やかなものばかり。果物をふんだんに使ったデザートはどれも美味しそうで選ぶのに悩んでしまう。店員を待たせるわけにはいかないので、無難にノーマルのパンケーキを選んだ。それならハズレを引くことは無いだろうと。
「あの女絶対海のこと……」
「ありゃホの字だな。銀さん気をつけないとすぐに持っていかれちゃうぞ?海くん人気だからよ」
「んな事知ってらァ!海は誰にも渡さねぇよ!」
『何の話だよ……』
「いーの!海は俺に全部任せてればいいの!」
『意味わかんねぇよ』
海の注文の後におじさんと銀時もそれぞれ食べたいものを選んで店員に頼む。二人は海と違って果物が盛り沢山のデザートを頼んでいた。おじさんならともかく銀時は先程団子を食べていたはず。
『(デザートは別腹というけど、こいつそんなに食えるのか?)』
普段の食事量を考えたらここでの食事は入らなさそうな気がする。だが、甘党の彼ならばパフェの一つや二つくらいペロリと食べてしまいそうだ。もし残るようであれば自分が手伝えばいいか。
メニューを元の場所に戻してから店内をぐるりと見渡す。いかにも若者向けな装飾がされた内装。書類漬けで疲れている目にはとても眩しく見える。
団子屋のおじさんを連れて餡泥牝堕へ来たのは敵情視察のため。老舗の団子が廃れて新しい店がどんどん開業していくのはこういう事なのだろう。時代に合わせて店舗を作り物を売る。そうしなければやっていけない。だが、代わる代わる変わっていく時代の波に追いつけなくなったとき。経営者はどうすればいいというのか。
『(コロコロ変わりすぎてる。流行なんて物に捕らわれてたら本当に良いものを見失う)』
テーブルに並んでいるスイーツを見て嬉しそうに笑い合っている女性たちを見てふとそう思った。
暫くしてから注文した品がテーブルへと届く。銀時とおじさんの前に置かれたパフェは果物やらソースやらでごちゃごちゃしていて何がどこにあるのか分からないほど。
食べるの大変そうだなと思いつつパンケーキを切ろうとナイフを持った海の前にずいっとスプーンが差し出される。
「海、ほら」
『なんだよ』
「食ってみ。これ美味いから」
突き出されたスプーンには青いアイス。食べてごらんと言われておずおずとスプーンを口にする。途端に口の中へと広がる清涼感。まるで歯磨き粉を食べているかのような感覚に慌てて近くにあった飲み物を口に含んだ。
『なんだこれ!』
「あれ?ダメだったか?チョコミントなんて珍しいなと思ってあげたんだけど」
『チョコの味なんてほぼしなかったけど』
パフェに乗っているアイスには確かに茶色いものが混じっている。強すぎるミントの味にチョコが負けてしまったのか、それともたまたまチョコが無いところを食べてしまったのか。口の中にあるのはミントの爽やかな味だけで、チョコの甘さなんて一切ない。
『これは少し苦手だな』
「それならこっちで口直しするか?」
再度差し出されたスプーンには白いクリーム。これなら大丈夫だろう?と口元へと向けられた。
『それは銀時のだろ。俺のはあるんだから』
「んー?だってお前さっき食べたそうに見てただろ?」
『見てない』
「嘘つけ。パンケーキとパフェで悩んでたの知ってんだからな?」
『うるさい』
「はいはい。素直じゃない海くんにはフルーツあげましょうね」
パンケーキの上にゴロゴロと果物が乗せられていく。ミントが苦手だということを知った銀時は青いアイスが付いていないのを海の皿へと移した。
.