第71幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
詮議中に持ってこられたのはダンボール箱。
その中には破牙が回収した証拠品。箱の中にあるのは全ていかがわしいビデオの数々で、長谷川が事件を起こすきっかけ、またはそういう欲求をビデオで満たしていたのではないか、現実と空想の境目が分からなくなって犯行に及んだのだという弁論。
「異議あり!破牙検事が示すこれらの物は証拠品としては不十分です!中をあらためさせてください。ビデオの再生を要求します!」
確かにビデオの確認は必要だろう。こういう証拠品については海も慎重になるきらいがある。攘夷浪士たちが隠しているビデオ等にテロの計画が映されたものとかが出てきたりするからだ。
見た目はアニメやドラマのように見えるのだが、中身は全く違うなんて有り得る。過去に一度だけ視聴した際に見た目通りのビデオを見てしまったこともあるが。その時は叩き割ったはずだ。
審議の結果、ビデオの中身を確認する運びとなった。役人が再生機器の準備をしている間、銀時は焦りの表情で海の元へと走りよってくる。
「海、これから証拠品の確認が入るからこれ巻いとけ」
『は?なんで?』
「いいから。お前みたいな子があんなもん見ちゃいけません」
ネクタイを解いたかと思えば、それを海の視界を塞ぐ目隠しとして使った。ズレないように調整してから銀時は「よし」と呟く。
「音は出さないみたいだから大丈夫だろ。終わったら取りに来るから待っててな」
ぽん、と肩に手を置かれて頷く。それから数分程で証拠の確認が取れたのか、すぐに銀時は戻ってきた。どうやら破牙が持ってきたビデオの数々は証拠不十分として却下されたらしい。
今のところ銀時の方が有利?にことが進んでいる。このまま破牙の弁論を耐えていけば、長谷川の刑が軽くなるかもしれない。
そう思った刹那、破牙の反撃が銀時へと雷を落とした。
「そこにいる坂田弁護士は三週間前、着替えをする女性を覗いていた疑いで同心から職質を受けているのです。証拠不十分で厳重注意で事は済んだようですが、果たして被告人の痴漢容疑を弁護する資格があるのかどうか……甚だ私は疑問ですな。どうですか?傍聴席の皆さん」
破牙は傍聴席へといる野次馬に声をかけて賛同を求める。慌てる銀時に傍聴席はざわめき出すが、海は至って冷静に手を挙げた。
『お奉行、それについては俺から……いえ、真選組副長補佐の桜樹 海がご説明致します』
「よかろう。言ってみせよ」
『はい。確かに坂田弁護士は三週間前、件の場所にて職務質問を受けております。それは真選組にて報告が上げられており、書類は既に処理されております。ただ、坂田弁護士があの場所から、あの距離から女性の着替えを見ることは不可能です。私も現場検証として同じ場所に立ちその方角を見てみましたが、人間が持ち得る視力では到底見える距離ではありませんでした』
これは同心達の勘違い。そして女性の思い過ごし、並びに女性が着替えをするにも関わらず、窓のカーテンを閉めなかった自己防衛の低さによる言いがかりだ、と述べた。
.