第69幕(微裏)
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『じゃ、また来るから』
「はい……海さん、くれぐれも気をつけてくださいね」
「特に後ろとか気をつけるネ」
『なんだよ急に。まぁ、注意はしておくよ』
苦笑いを浮かべる海に新八と神楽は心配そうに見つめる。引き戸を開けて外に出た海の後を追って銀時も外へと出る。
「(これ……まさか……)」
海は気づいていない。銀時がそばに居ることを。人の気配に敏感で、後ろからこっそりと近づいても気づく子なのにだ。なんの違和感も感じずに海は見廻りを再開しようとしている。
これならいけるかもしれない。
「(このままついていって、海が一人になったところで……ぐふふ)」
今すぐにでも悪戯したい気持ちを抑え、銀時は見廻りに付き合うことにした。
普段ならここにマヨラーとドS王子がくっついて来ているのに今日は一人。この状態であれば思う存分海の事を見ていられる。
見廻りは二時間ほどで終わった。無事に屯所へと帰ってきたことをほっとしつつ、銀時は海にくっついて屯所の中へと進む。
「おかえりなさい!海さん!」
『ただいま。山崎、土方見てないか?』
「今日は書類をまとめると言ってたので、副長室にいると思いますよ!」
『わかった。ありがとな』
笑う海に山崎は鼻の下を伸ばして気持ち悪い笑みを浮かべる。海に対して良からぬことを考えているのではないかと思い、銀時は山崎の前を通り過ぎたとき足を踏んで行った。
『土方、入るぞ』
「あぁ」
『うわ……お前またそんなにタバコ吹かして……少しは換気しろよ』
襖を開けると同時にむわっと香るタバコの臭い。顔の前で手を振って嫌そうにしながら、海は土方の前に腰を下ろす。
机の上にある灰皿は吸殻でこんもりと山になっている。こんだけ吸っていれば部屋の中は煙まみれになるだろう。息をするのも苦しいし、目も段々と痛くなってくる。それでも海は見廻りの報告を続けていた。
この部屋に長居させるのは良くない。そう思って、土方の部屋にあった本を床へと落とす。
その音で二人の会話は途切れる。
『今日は何事も無かった。この間、派手に動いてたから今は大人しくしてるんだろ』
「だといいが……」
『報告は以上だ。悪いがもう出るぞ。目が痛い』
「あ?ああ……悪い」
『悪いと思うなら少し吸う量を減らしてくれ。周りの人間を思いやるのもそうだが、これだと土方の肺もイカれるぞ』
注意されているのに土方はどこか嬉しそうに聞いている。その顔にイラッとして頭を殴ってしまった。力が入りすぎていたのか、土方は顔面を机にぶつけて固まる。
『……大丈夫かお前』
「あ!?ああ!?」
何が起きたのか分からない両者は目を丸くしていた。
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