第69幕(微裏)
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すっと目が開く。窓から差し込む陽の光で、もう朝が来てしまったのかと気分が落ちる。今日はなんの予定も入っていない。このまま二度寝してしまおうと銀時は陽の光を遮るように布団を頭まで被った。
「銀さーん!朝ですよー!」
バタバタと走りよってくる新八の声。襖を勢いよく開けられたが狸寝入りを決め込む。
「あれ?銀さん、いない?」
どうせ無理矢理起こされるのだろうと思っていたのに、新八は銀時を起こすどころか部屋に居ないとまで言った。
「神楽ちゃーん。銀さんもう出かけてるの?」
「知らないネ。私も今起きたところアル」
自分は部屋にいるはずなのになぜか新八は居ないと繰り返す。新八だけならともかく、神楽まで銀時が居ないというもんだから心配になって布団を蹴り上げた。
「おい、ここにいるだろ!」
「うわっ!?え、銀さん?え??」
「だからここにいるって言ってんだろが」
「ど、どこですか!?姿が見えないんですけど……」
姿が見えない。その言葉に驚いて自分の身体を見る。だが見えたのは床。
「な、なんじゃごりゃァァァァ!!!」
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
「で、銀さん何したんですか」
「知らねぇよ。起きた時からこうなってたみたいだし?」
「銀ちゃん変なものでも食べたアルか?」
「変なもんってなんだよ変なもんって」
「犬の餌とかネ」
「はぁ?犬の餌なんか食ったくらいで透明になってたら犬はみんな透明になってんだろうが」
「定春は透明になってないヨ」
「当たり前だろうが!」
新八が用意した朝食を食べつつ、銀時は透明になった原因を考える。寝る前は普通に身体は見えていた。寝て起きてこの状態になっていたのだから、自分が寝ている間に何かあったのだろう。
「でも、困りますね。そんな状態じゃ」
「どうせ仕事なんか来ねえんだからいいだろ」
「そうかもしれませんけど……あっ、誰か来たみたいですよ!」
呼び出し鈴が鳴って新八が玄関へと赴く。からからと引き戸の開く音が聞こえたかと思えば、新八の嬉しそうな声が部屋まで響く。
誰が来たのかと見に行くと、そこには隊服姿の海が立っていた。
『おはよう。見回りの前に顔を出しておこうと思ったんだが……銀時はまだ寝てるのか』
「あっ……いや、銀さんはそ……むぐっ」
『新八?』
「銀ちゃんなら今透め……ふぐっ」
『神楽?お前らどうしたんだよ』
後ろから神楽と新八の口を塞いだので二人の言葉は途中で止まる。不思議そうにしている海に二人はなんでもないと手を振り、後ろにいる銀時をじろっと睨む。
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