第68幕
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一悶着あったが、屋形船はあのあとすぐ体勢を戻した。船の運行は当然中止となり、海たちは地上へ無事戻ってきた。
「桜樹……その……助かった」
『ん?あぁ、どういたしまして』
「何故距離を空けるんだ?」
『男が苦手なんだろ?ならあまり近づかないほうがいいだろ』
「それはそうだが……。お前は平気そうだ」
『平気?いや、俺も男だからな?』
「分かっている。だが、不思議と嫌な感じがしないんだ。僕もよく分かっていない」
男性恐怖症であらば海も該当する。それなのになぜか自分だけは除外されているという不思議。柳生もよく分かっていないのか、銀時と海を交互に見ては不思議そうに首を傾げていた。
「桜樹、その……嫌でなければもう一度手を握って貰えないか」
『手を?』
「ああ、ちゃんと確認がしたいんだ」
『それはいいけど』
差し出された手を握ろうとしたが、繋がれたのは柳生の手ではなく銀時の手。
「なにやってんの?コソコソと」
『別にコソコソはしてない』
「してるじゃん。なに?いつの間にそんな仲良くなったわけ?少し前まではお二人さん互いに殺気丸出しだったのに」
握られている手に徐々に力が込められ、銀時が怒っているのがひしひしと伝わってくる。
「どんな心境の変化よ」
『変化も何も無いだろ。誤解が解けて今は普通に知り合いになっただけだ』
「知り合い程度ならそんな何度も手を握らなくてもいいんじゃないの?手を握りたいなら俺の手を握ればいいじゃん。銀さんはいつでも大歓迎だけど??」
『単に握りたいだけじゃない。確認したいっていうから握るってだけになっただけで』
「確認?なんの?男の手が握れるか握れないか?そんなん他のヤツでも確認できんだろうが」
何がなんでも柳生と手を握らせたくないのか、銀時は海の両手を掴んで柳生から引き離す。
「ほら、あそこに新八いるんだからそっちで試してみろよ」
「それもそうだな。桜樹の手が握れたのであれば、新八くんの手もきっと平気だろう」
そう言って柳生は新八に声を掛けて手を差し出す。照れながらも新八はその手を握り返したのだが、先程と同様で投げ飛ばされてしまった。
「……握らなくて良かったんじゃない?」
『……そうだな。助かった』
「どーいたしまして」
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