第68幕
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隣で何やら騒いでるのが聞こえるが、総無視して刺身を楽しむ。久しぶりに食べる魚はとても美味しく、自然と顔が綻んでしまう。
そんな幸せをぶち壊すように、突然船が傾き始めた。
「う、うわ!?」
『新八!大丈夫か?』
寄りかかってきた新八を支えつつ、自分も転ばないように柱に手をかける。机の上にあった皿は全部床へと滑り落ちていき粉々になった。破片が散らばっているところへ神楽が倒れそうになっているのが見え、咄嗟に神楽の腹に腕を回して引き寄せた。
『怪我はないか?』
「大丈夫ヨ!でも、なんで船がこんななってるアルか?」
『さあ……船に異常があったとしか。二人とも柱に掴まれ!』
これでは合コンどころではない。今すぐ操舵室の方を見に行かなくては。神楽を柱に掴まらせ、新八もそこに掴まらせようと手を伸ばす。
『新八!掴まれ!』
「海さん!」
もう少しで手が届くというところで船の傾斜が酷くなる。ずるっと滑り落ちていく新八と、その横で柳生も落ちていくのが見えた。
『おいおい、まじかよ!!』
新八の方は滑り落ちた先でぶら下がれるものを見つけたみたいだったが、柳生はどこにも掴まれずに船内から放り出されそうになっていた。あのままでは海に落ちる。
『柳生!』
「桜樹!」
『手を離すなよ……!』
「あ、あぁ!」
柳生の手をしっかり握ると相手からも握り返される。どうにか中へ戻れればいいのだが、もはや船は逆さまになっていて戻っても危ないのには変わりは無い。
屋形船の側面に備え付けられている浮き輪に掴まりながらどうしたものかと考える。このままでは海の体力が尽きて柳生と共に海へ真っ逆さまだ。
何か方法はないかと周りを見ていると、甲板の方から声をかけられる。
「海ィィ!!」
『銀!』
「今助けてやっから!」
『銀時!俺よりも柳生を先に引き上げてくれ!』
ぐいっと柳生を掴んでいる手を銀時の方へと差し出す。その時、柳生が焦りの表情で海を見る。
「待て、僕は男に触れられると……!」
「そんなこと言ってる場合じゃねぇ!!!」
銀時が柳生の手を掴んで引き上げた瞬間、柳生は叫び声をあげて銀時を外へと放り投げる。
『は?いや、ちょ、はぁぁぁ!?』
飛んできた銀時を掴みあげて抱き寄せる。投げ飛ばされた本人も状況がよく分かっていないのか、目を白黒させて海を見つめる。
「え?え?どういうこと?」
『男に触れられるとなんとかって言ってたけど……』
「男って……海も男だけど?なんで俺だけ!?」
『知らねぇよ……』
二人で疑問符を浮かべながら柳生の方を見る。心底嫌そうな顔をしながらこちらを眺めているのが見え、益々意味がわからなかった。
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