第68幕
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最後に来たのはお妙とその友人たち。彼女たちは集まったやつらを一人ずつ見ていく。銀時と海の方もじっと見つめてきたかと思えば、その視線は海に固定された。
「海、下がってなさい」
『なんか凄く見られてる気がするんだけど』
「気がするじゃなくて見てるから。あいつらずっと海のこと見てっから」
銀時の背中に身を隠し、お妙の友人たちをちらりと見る。海の姿が見えなくなったことで、彼女は不満げな表情だ。
『な、なんだあの人たちは……』
「あれだろ。あいつをたてるために呼ばれたヤツらだろ」
『あいつ?』
「ほらあるだろ。自分より不細工なやつを隣に並べて自分を可愛く見させようとするってやり方」
『なんだそれ』
そんなことをしなくてもお妙は十分可愛らしいのでは?と聞くと、銀時はなんとも言えない顔で海の方を振り返る。
「世の中、海みたいに純粋なやつは多くないの。ああやってセコい真似しないと生きていけないやつもいんのよ」
セコい真似の意味がよく分からなかったが、女性社会は何かと生きづらいのだなと察した。
合コンのメンバーが集まったとのことで、海たちは予約していた屋形船へと乗り込む。
男性陣の方はスカスカなのに対して、女性陣の方は隙間なく詰め寄られていて少々苦しそうだ。人数構成がめちゃくちゃ過ぎてもうこれは合コンと呼べるのかも怪しい。
『(とりあえず集めてみたけど……ってところか。要は柳生がバベルを立てようと思わせなければいいってことだろ?なら適当に話をしていればいいんじゃないのか)』
柳生が本気で立てたいと思っているのであれば、邪魔をするのは野暮だと思う。ただ、家を継ぐためだとか、見栄のために必要としているというのであれば考え直させた方がいいだろう。
それならこんな合コンなんて開かないで、普通に柳生と話をすればよかったものを。
『(それにしてもこいつら……)』
全くもって合コンを進めようとしない。人を集めてしまったのなら始めなくてはいけないのに、幹事を務めているであろう銀時も新八もただ揉めているだけで進行を放棄している。
このままでは集まってくれた者たちに失礼だ。二人が何も言わないのであれば自分が何とかするしかないかと口を開き掛けたとき桂が手を上げた。
「すまない、ちょっと伺いたいことがある。俺は……一体誰なんだ?わからないんだ。何故俺はここにいるんだ?」
記憶喪失になった人のような物言い。桂の隣に座っていた近藤までもがわからないと喚き始め、海は頭を抱えるしかなかった。
『もうめんどくさい。関わるのやめよ』
考えるだけ無駄だ。こいつらに構っている時間がもったいなく感じてしまう。
『新八、皿取って』
「え?あ、はい」
どうせ銀時が上手くまとめるだろう。自分は目の前に並べられている料理を食べていればいい。
一週間ほど病院食だったので生物などは食べられなかった。そのせいか刺身がとても美味しそうに見えて仕方ない。
新八から受け取った皿を皮切りに海は料理を取り分けていく。どうせ何もしないで好きなようにしていたら、銀時や神楽に食い散らかされるのは目に見えているのだ。最初からこうして分けてしまえば、二人は大皿に手を出しはしないだろう。
「海くんはすごく面倒見のいい子なのよ、九ちゃん」
「そのようだな」
「そ、そうなんですよ!海さんは凄く優しいんです!」
「ふん。ぱっつぁんがダメ男なだけアル」
ただ料理を取り分けただけなのに何故か評価が上がっていく謎。
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