第67幕
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目が覚めて一番に視界に入ったのは白い天井。鼻につく消毒液の匂いで、ここが病院だとすぐに分かった。
起きるまでの間ずっと銀時がそばに居てくれたらしく、怪我の処置について詳しく教えてもらった。
脇腹に撃たれた銃弾は貫通していて体内に弾は残っていない。ただ、出血量が酷かったから輸血をしたとのこと。それ以外の怪我は小さい切り傷や擦り傷だったので処置は簡単なもので済んだ。脇腹の傷が良くなるまでは絶対安静が必要だと言われ、入院を余儀なくされた。
「具合はどうだ?」
『今は大丈夫。悪い、ここまで運んでもらって』
「悪いと思うなら次からやらねぇようにな」
『善処する。気をつけてはいるんだが、どうにも上手くいかないんだよ』
今回は使い慣れていない刀を使っていたからというのもあげられる。普段、軽量化されているものを愛用しているため、普通の刀では振りが遅くなってしまう。短時間で制圧出来るものであれば問題はなかっただろうが、今日はやたらと人数が多かった。
『銀、一つ頼みがあるんだがいいか?』
「なに?」
『暫くの間、手合わせに付き合ってくれると助かる』
「手合わせ?なんでまた」
『いつもの刀が無い時に他の刀を使えるようにしておかないと困る』
「はあ??」
海の頼みに銀時はこれでもかと嫌そうな顔を浮かべ、全力で首を横に振って反対してきた。
「ぜってぇやだ。なんでそんな事に付き合わなきゃなんないわけ?」
『無理にとは言わない。銀時なら加減せずにやれるから楽だと思っただけだから』
「あのさぁ……お前のその頭の中は一体何で出来てるわけ?脳内メーカー使ったら絶対、"闘争心"しか出てこないだろ」
『別にそういうわけじゃない。気になることがあったら直すのは皆同じことだろ』
「海のそれは直さなくていいことだから。別に気にすることじゃねぇよ。使えないなら使えないで、そういうことに首突っ込まなきゃいい話だろ。なんで自分の癖を直してまで関わろうとすんの」
『関わりたくて関わってるわけじゃない。しょうがないだろ。不可抗力だ』
「ちょっとその発言は今はウザイ」
うんざりとした顔で銀時は呟き、これ以上話を聞くつもりは無いとそっぽ向かれてしまった。
そして暫しの無言。暇を持て余して窓の方へと目を向けると空はまだねずみ色。
『銀時』
顔を合わせないまま名前を呼ぶも、銀時は返事をしない。
『その、来てくれて……ありがとう』
「ん、どういたしまして」
ぶっきらぼうな返しに思わず口元が緩む。
『ミツバさんは……』
「総一郎くんと話した後に」
『そう、か』
自分が眠っている間にミツバは旅立ってしまった。最期に立ち会えなかったことが悔しくて布団を強く握り込む。
「海によろしくってさ。最後まで笑ってたよ」
『そ……なんだ』
「海」
椅子からベッドの端へと移動した銀時は海へと腕を伸ばす。ボロボロ泣きながら腕の中へと飛び込むと優しく背中を撫でられた。
「本当に。勿体ねぇな」
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