第67幕
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「……また派手にやられたもんだな」
『昔のように……上手くは……いかないらしい』
地面に座り込んで休んでいると、水溜まりが跳ねる音が聞こえた。緩慢な動きでそちらへと顔を向けると、銀時が傘を差して立っていた。
「なんでお前はそうやって無茶ばかりするんだよ」
『わざと選んでるわけじゃない。なんでかそうなる、んだよ』
話すのも辛いほど身体の傷は多い。途切れ途切れに声を出していると、銀時は苦しげな表情で傘を放り投げた。
「わざと選んでるならぶん殴ってるわバカ」
片膝をついたかと思えば、銀時は海の背中と膝裏に手を差し入れて抱き上げる。自分で歩けると言おうとしたが、強い眠気のせいで言葉にならなかった。
「もうこんなことして欲しくないんだけど」
『それは、無理……だと』
「海がやらなくたっていいだろ。他の奴らに任せれば」
『頼りない……奴らが多くて……』
「お前はどんだけブラックなところで仕事してんだよ。そろそろ転職してくんない?じゃないと……俺の心臓がもたないんだけど」
『前も言ったろ、転職は考えてないって』
怪我をするのはいつものことだ。こんな事で職を変えるなんて今更すぎる。それに自分にはもうこれしか残っていない。
「こんなこと続けてたら……いつか死んじまうだろうが」
『ちゃんと生きてる。こんなもんでは……死にはしない……と思う』
「思ってるだけだろうが。分かってんの?今もダラダラ血を流して俺の着物真っ赤になってんのよ?」
『あー……早く洗わねぇと』
「そういう問題じゃねぇ!」
血の汚れは落ちにくいから早く落とさないとシミになる。自分を抱きあげたばかりに銀時の服が汚れてしまった。申し訳なく思いつつも、海は密かに笑う。
「何笑ってんだよ」
『いや……なんか、安心する』
「は?何が」
『銀が、近くに……いるのが……すご……く』
「お、おい!海!」
段々と意識が遠のいていく。銀時が焦って身体を揺さぶってくるが、それすらも眠りの誘惑になってしまっていた。
『ぎん』
「海!!」
『ごめ、すこしだけ……ねかせ……』
この眠気には抗えない。せめて、銀時に死にそうになっているわけではないと伝えたかったけど、それすらも難しそうだ。
やはり、徹夜明けでこんなところに来るべきではなかった。そう反省しながら海は夢の中へと落ちていった。
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