第66幕
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浪士を見つけては斬り倒し、また見つけては斬り倒しを何回も繰り返しているうちにはぐれたのか、そばに居ると思っていた土方の姿が見当たらなかった。
『……けして迷子ではない』
浪士を見つけては突っ込んでいたせいで周りを見ている余裕が無かったのは認める。自分が悪いのは重々承知しているけど、はぐれそうになったのであれば一声掛けてくれても良かったのではないかと思ってしまう。
『どこだよ……探すのめんどくさいんだから早く出てきてくれないか』
刀についた血を振り払いながら土方を探し回る。すぐ近くで声は聞こえているが、どれも土方の声では無い。浪士たちの声が集まっている方へと向かうと、至る所に死体が転がっているのが見えた。時折、まだ息がある者を見つけてはトドメを刺す。
そんなことを繰り返していたら発砲音が聞こえた。
『まさか……!』
音の方へと走りよると、土方が片足を引き摺っているのが見えた。先程の発砲音は浪士が土方に向けて銃を使った音だったらしい。
『土方!!』
「海!!」
『見つからねぇと思ったらこんなところにいたのか。それにしても随分とボロボロだな』
再度、土方を撃とうとしていた浪士の腕を斬り飛ばして両者の間へと身を滑り込ませる。動けない土方に変わって周りのやつらを斬り倒していくが、体力の限界が来ているのか徐々に息が上がってきてしまった。
『このままじゃまずいな……』
やはり近藤に一言残してから来ればよかった。二人だけでこの人数を相手するのは無謀だったようだ。
ゾロゾロと現れる浪士たちに舌打ちを零した海の目に映った黒いもの。それは海の後ろにいる土方へと向けられていた。
『冗談じゃねぇ!そんなもん撃たせるかッ!』
二発目を浴びたら完全に土方は動けなくなる。そう思って海は土方の襟を掴んだ。
「海!!」
土方に当たらないように庇った結果、銃弾は海の脇腹へと当たった。飛び散った血が土方の顔を汚す。
『っは……』
「お前なにやって……!」
『こんなもん何度も撃たれるもんじゃねぇよ』
刀を地面に突き刺して倒れないように身体を支える。銃を持っているやつは弾の補充に手間取っているのか撃ってくる気配は無い。
『土方、ここはいいから蔵場のところに行け!雑魚共を相手してて犯人取り逃してたら話にならない』
「そんな状態のてめえを置いて行けるわけねぇだろ!」
『別にこれくらいなんとでもない。昔に比べたら数もそんなに──』
はっとして口を閉じるも遅く、土方は海を訝しげに見ていた。先程の言葉を誤魔化すにしても時間が無い。
『土方!行け!!』
そうこうしているうちに弾の補充が終わったのか、また海たちに向けて銃口が向けられる。射線から土方を逸らしつつ、浪士たちを一人ずつ倒していく。
後ろから向けられている視線を感じつつも、海は周りの敵を薙ぎ払うのに集中した。
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