第65幕
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『盗み聞きなんてよくないんじゃないか?銀時』
がちゃりと扉を開けるとそこには銀時が立っていた。
「あ、バレた」
『バレたくないならもっと上手に気配を消すことだな』
悪びれた様子もなく屋上へと入ってきた銀時はへらりと笑ってさも当然のように話に入ってきた。
「そんなことより今の話、あの女知ってんの?」
「いえ、副長には誰にも言うなって言われてるので」
山崎にミツバの周りを監視させ、土方は単独で蔵場の懐に飛び込もうというのか。
『無謀だな。考え無しに突っ込むつもりか』
「海さん、副長は……」
誰にも知られずにこの件を済ませようとしている。ミツバを犯罪者の妻にしたくないという気持ちは分かるが、土方のこのやり方はあまりにも無茶だ。
『あのバカはいつ仕掛るって?』
「えっ、あ、明日の晩ですけど──痛い!」
ばしん!という音と共に山崎が叫ぶ。銀時に頭を叩かれて痛そうに頭を摩っていた。
「余計なこと言ってんじゃねぇよ」
「殴ることはないじゃないですか!」
二人でぎゃあぎゃあ喚いているのを横目に海は屋上を出ようとドアノブに手をかける。
「おい。どこに行くんだよ」
『仕事』
「まさか海さん副長の所に行くつもりですか!?」
『仕方ないだろ。上司が仕事してんのに部下がフラフラしてるわけにはいかない』
「で、でも、海さんの刀は今修理中じゃ……」
山崎に言われて思い出した。いつも使っていた刀は今鍛冶屋に預けている。刀身が折れてしまったので、また一から作り直さなければならないだろう。
『そんなもん他の刀使えばどうにでもなる』
「お前、他の刀じゃ使い物にならねぇだろうが」
『そんなことない。多少振りが遅くなるくらいだ』
「それが命取りになるって言ってんだよ。悪いことは言わねぇ、今回はやめときなさい」
子供に言い聞かせるように銀時に引き止められる。
慣れていない刀で敵地に乗り込めば無事では済まない。下手すれば死ぬ恐れもある。それでも足を止めるわけにはいかなかった。
『そんな顔すんなよ。そうだ。俺がいない間、ミツバさんの話し相手になってほしい。それとあの激辛せんべいを食べすぎないように見張っててくれ。暇さえあればあの人はせんべい食べるから』
「それはお前がやれよ。なんで俺がやんなきゃなんねぇの」
『頼まれればなんでもやる万事屋じゃないのか?』
「今は関係ないだろ」
『じゃあ俺が銀時に依頼すればいいか?』
もしもの事を考えて、ミツバの傍には誰かしらがいて欲しい。山崎だけでは少し頼りない。本当は自分がついていればいいのだが、それも出来そうにないから。
『お前がいてくれたらこっちは何も考えずに動ける。だから頼む』
眉間に深いシワを寄せて銀時は海から目を逸らす。
数秒の間があったが、銀時は小さく頷いてくれた。その返事に海は緩い笑みを浮かべ、一言礼を言ってから屋上を出た。
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