第65幕
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『なにやってんの?』
「山崎さんがベッドの下にいたの」
ふふふ、と楽しそうに微笑むミツバさんが座るベッドの下には確かに山崎がいる。ソーセージを二本持って頭を抱えている山崎を何故か銀時はひたすら蹴りつけていた。
『山崎、ちょっと来い』
「え、海さん……でも……」
『でもじゃない。ちょっと付き合え』
笑顔を貼り付けながらも冷ややかな目で見やると、山崎は青ざめた顔で頷く。怯えてベッドの下から出てこようとしないので、襟を掴んで引き摺るようにして山崎を連れ出す。
『ミツバさん、食べ過ぎはよくないからね?』
「ふふ、海くんは心配性ね。大丈夫よ」
『ダメなものはダメだ。一日一個まで』
「とりあえず返事だけしといた方がいいぜ?海はしつけぇから」
「そうね。うん、海くん。一日一個ね」
『全部聞こえてる。しつこいって言ってんのも聞こえてるからな。適当に返事したってダメなもんはダメだ』
「はーい!」
にこやかな笑みを浮かべて手を上げるミツバにそれ以上の注意をすることが出来ず、半ば諦めのため息をついて山崎を病室から引っ張り出す。
階段を上がって屋上へと出ると、海は山崎を放り投げた。
「い、痛いですよ!海さん!」
『なんでミツバさん見張ってんだよ』
「そ、それは……その……」
『……誰が山崎を差し向けたのかなんざわかってんだから答えろ』
地面に転がっている山崎を睨むように言えば、渋々という顔で山崎はぽつぽつ言葉を紡いだ。
「転海屋をご存知ですよね?」
『あぁ、さっきそこであったミツバさんの婚約者だろ?その人がどうした』
「その転海屋が不逞浪士と大量の武器を闇取引しているのではないかという嫌疑がかけられているんです」
──貿易業を営んでおります。
その言葉を思い出してまさかと鼻で笑う。
そんなことがあってたまるか。
『証拠はあんのか』
「ここ数日、取引現場の所を……」
『目にしてるってことか』
「はい。あ、あの……副長にはこのこと……」
『わかってる。聞かなかったことにしておいてやるよ。でも、なんで俺に言わなかった』
「それは……海さんがミツバ殿と親しい間柄だからだと思います」
『それとどういう関係が?』
「だって、ミツバ殿を大切にしている海さんや沖田隊長がこのことを知れば何をするかわからないって。副長が」
山崎は言いづらそうに海から目を逸らして呟く。
確かにミツバの婚約者が悪事に手を染めているというのであれば、それは止めなくてはならない。警察関係者の親族に犯罪者が出たとなればどうなるかわからないのだ。
その前例を作ってしまった自分が言えた立場ではないのは分かっている。海の件ですら大事になり、その責任を問われている身だ。
『総悟が……選べるとは思えないな』
「何をですか?」
『いや、なんでもない。それより……』
ちらりと後ろにある扉へと目を向ける。屋上に来てからずっと盗み聞きをしている存在に海はため息を零した。
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