第65幕
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「普段はストーカーしかしてねぇ野郎がねぇ」
『あんな人だけど、とても良い人だよ』
「まあ……そうだな」
本当に近藤は勿体ないことをしていると思う。ストーカー行為をしなければ、漢気のある人間として好かれていただろうに。今からでも真面目に、と言ったところで彼は笑って無理だというだろう。
「そういえばさっきなんか言いかけてなかったか?」
『さっき?』
「そう。あのねーちゃんが屋敷の中入る時にさ」
『ああ、あれか。実はミツバさん、土方のこと好きだったんだよ。今は婚約者が居るからもう吹っ切れてるんだろうけど』
「え。あのマヨラーのことを?」
『そう。俺もお似合いだと思ってたんだけど、中々上手くいかなくてさ』
江戸に行くことを取るか、それともミツバを取るか。きっと土方はこの二択で悩んだはずだ。
彼は結局、武州にミツバを残して江戸に行くことを選んだ。だから今、真選組がこうして成り立っている。
その代わりにミツバとの距離が空いてしまった。ミツバも江戸に出てこれたら良かったのだが、彼女の体調を考えるとそれは出来ない。江戸の空気はミツバにとって毒でしかなかったから。
長い月日が経ち、彼女は漸く江戸に来ることが出来た。でもそれは土方の隣に立つ為ではなく、別の男と共に生きることを選んで。
『もう完全に諦めたんだろうなと思ったんだよ。でも、もしかしたらミツバさんはまだ土方のことを想ってるのかもしれない。そんな状態で別の男と結婚してこれから幸せになれるのか。それなら土方と一回話をしてみるのも良いかと思ってさ』
だからあの場に土方を呼ぼうと思った。ミツバが会いたいと願うなら叶えるべきだろうと。
「ふーん……。海ってたまに優しさの限度越えるときあるよな」
『限度?なんだそれ』
「良かれと思ってやろうとした事が裏目に出てたりするんだよ。確かに一度話をするのは良いと思うけどよ、ばったり会って咳き込んで倒れるようじゃ話どころのもんじゃないでしょ」
『それは突然の事だったからびっくりしたんだろ』
「それもあるけど、あの二人は話し合うって言うよりも……」
『なんだよ』
銀時は夜空を見上げて唸りながら考え込む。
「まあ、そういうのは他人が茶々いれない方がいいんじゃね?変に拗れるし」
言われてみればそうだ。二人の為にとあれやこれやと手を尽くしたところで、当人たちで話が進まなければ無駄になってしまう。先程の土方を見た感じではまだ無理そうな気がする。
「どうにかしてあげようって思ったことは悪いことじゃねぇよ。でも、海は思ったら即行動しちゃうから少し考えてからにしたら?」
『……わかった』
「そんな落ち込むなって。海が優しいのはわかってっから」
ぽん、と頭の上に手が乗り優しく撫でられる。暫く撫でられているうちに段々と気が晴れてきた。
「大丈夫そうか?」
『なんとか。ありがとな』
「ん。ならお礼は海の手料理だな」
『なんでそうなるんだよ』
「落ち込んでる海を慰めたから?」
『あれで慰めかよ。まぁ、いいけどさ』
「おっ、デレた?」
『デレてねぇわ。てか、冷蔵庫になんか入ってんのかよ』
「あっ、なんもねぇわ」
『はぁ……スーパー寄るぞ』
「はいよ」
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