第55幕
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「はぁ?将軍のペットォ?」
結局、隠し通すはずだった仕事内容は銀時にしつこく聞かれたことで話すことになった。もうこの際だから万事屋にもカブトムシを捕まえてもらうのを助けてもらおうと判断し、近藤は新八にことの説明をしている。
「んで、お前はそんなことのためにあんなハチミツまみれになってたのか?」
『なりたくてなってたわけじゃない。あんなことしても捕まるはずがないって言った』
「でも蜂蜜被ってたじゃねぇか」
『それは土方に無理やり……』
「ふーん。逃げずに多串くんの手にかかったわけだ?」
何故か不機嫌そうに言う銀時に首を傾げる。
『二人がかりでやられたら逃げられるもんも逃げられないだろ』
「お前なら本気出せば逃げられるだろ。なに手ぇ抜いてんだよ」
『別に手を抜いたわけじゃない。相手するのに疲れた』
マヨネーズを塗りたくってる上司と蜂蜜を全身に塗ってる上司。それに倣って動く部下たちを見てたらやる気も何も削がれないか?と銀時に問いかけると、渋い顔で小さく頷かれる。
「お前、復帰したばかりだよな?」
『細かいこと考えたら頭が痛くなる。それよりいつまで俺の手を掴んでるんだよ』
海の右手はしっかりと銀時の手に繋がれている。何度か手を離そうと引っ張ったが、その度に力を込められるため中々外れなかった。
「迷子になんだろ?」
『ならねぇよ』
「さっき俺たちからはぐれたの覚えてる?どんだけ探したと思ってんの?」
『ちょっと……厠に行っただけだろ』
「一人でふらっと居なくなってそのまま帰ってこなくなるのは迷子って言わない?」
『い、言わない』
「ふーん。じゃあ、やっと見つけたと思ったら困った顔でうろうろしてたのは?俺を見つけて酷く安心した顔してた奴は誰?」
『それは、その』
「いいから黙って繋がれてなさい」
『……はい』
ここは反論すべきでは無い。そう判断して口を閉じた。
万事屋と共にカブトムシを捕まえることに難色を示していた土方が漸く首を縦に振ったことで、近藤は銀時にカブトムシ捕獲の手伝いを頼んだ。そうなると自然と報酬の話になるわけで。
「手伝うのはいいけどいくら出せんの?」
「ちょっと銀さん!」
「だってそうだろ?こんなクソ暑い中、カブトムシ捕まえてくれなんてよ。ちゃんと報酬もらわねぇと」
「近藤さん、やっぱりコイツらに頼むのはダメだ」
「でもよ、トシ。もう俺らだけで捕まえるのは無理じゃねえか?」
「それでもだ。こんな奴らに任せるくらいなら隊士たちに蜂蜜でも何でもかけて木に縛り付けておけばいい。そうすりゃ寄ってくるだろ」
『今なんて言った?』
「あ?」
『お前今なんて言った?縛り付けておけだ?アイツらに何かしたらただじゃおかねぇからな?』
殺気を漂わせつつ土方を睨む。
近藤の作戦のせいで隊士たちは酷い目にあっているというのに更に彼らに追い打ちをかけるつもりなのか。
「な、なんだよ」
『なんだよじゃねぇよ。お前いい加減に──』
「はいストップ。今は喧嘩してる状況じゃないんじゃねぇの?」
かぽっと海の口を塞いだのは銀時の手。後ろから抱きしめられ、落ち着けとお腹を撫でられる。
「ほらあっち見てみろよ」
銀時に促されて見た先には神楽と総悟の姿。
「ついに見つけたネ!マゾ……いや、サゾ丸!」
崖の上で対峙している二人は互いにカブトムシを従えている。
「あれなにやってんの?イヤな予感がするんですけど?」
カブト相撲をしようとしている二人を止めようと銀時と近藤が声をかけるが二人はこちらの事を気にもせずに始めようとする。
『止めさせろ!将軍のペットなんかで相撲なんかさせられるか!』
「わ、分かってるけど……あれ止められんの?」
『あんのクソガキッ!凶悪肉食怪虫なんてどっから連れて来やがった!!』
普通のカブトムシよりもバカでかいサイズのカブトムシを連れてきた総悟はドヤ顔で神楽と瑠璃丸を潰そうと突き進む。もはや彼の頭には将軍のペットのことなんて残っていない。ただ神楽に勝とうとしている執念だけ。
『クソッ!どいつもこいつも!!』
「あっ、海!」
銀時の手を振り払って目の前の崖を登る。凸凹の少ない崖は掴む所がなくて登るのに苦労したが、刀を突き刺すことで足場を作り上に行くことが出来た。
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