第64幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『お前らいい加減にしろよ』
「でも、海さんだって気になるでしょう?あの二人」
『気にならねぇよ。むしろお前らの方が気になるわ』
「「え?」」
『あそこの二人を邪魔しないかどうか』
「あ、そういう意味ですか。ですよね、はい」
「で、ですよねぇ」
『はぁ……あの二人の邪魔すんなら斬るからな?』
見回りを終えて屯所に帰るなり、山崎と原田に面白いものが見れると言われて強引に近くのレストランへと連れてこられた。コソコソと物陰に隠れながら席に着いた二人はニヤニヤと気持ち悪い顔を浮かべている。
二人の目線の先には総悟と女性の姿。
『(元気そうでよかった)』
頼んだミルクティーを飲みながら海は総悟と女性を見て口元を緩めた。彼女を最後に見たのはもう何年も前のことだ。またこうして元気な姿を見られるとは。今日は良い日になるかもしれない。
女性の名前は沖田ミツバ。彼女は総悟の実の姉であり、海にとって大切な友人の一人でもある。
ミツバが江戸に来ると聞いたのは数日前のこと。結婚することになったと文が届いた時はとても驚いた。
武州に居たとき彼女は好きな人がいたのだ。もう何年も前のことだから吹っ切れていても不思議では無い。
『(たまに来る手紙はアイツのことばかり書いてあったが……諦めがついたみたいだな)』
振り向いてくれない相手をずっと思い続けるのは苦痛でしかない。新たに好きな人ができ、結婚までこぎ着けたというなら祝わなければ。
「海くん、沖田隊長が僕って!自分のこと僕って!」
『それがなんだよ。山崎、お前しつこい。そのしつこさは仕事の時だけにしてくれ』
「え゙っ、俺しつこいの?仕事中しつこいんですか!?」
『さぁ?』
落ち込む山崎にため息を着く。もうこの二人には付き合っていられない。屯所に帰って溜まっているであろう書類を片付けていた方が良さそうだ。
原田と山崎をその場に残して一人帰ろうと立ち上がった瞬間、どこからかバズーカが飛んできて山崎と原田にぶつかった。黒焦げになった二人と、視界の端で不気味な笑みを浮かべている栗頭。
「まぁ、なにかしら。くさーい……あら?海くん?」
爆発音に驚いたミツバがこちらを見る。バチッと海と目が合うと、ミツバは嬉しそうに笑いながら手を振ってきた。
「久しぶりね海くん」
見つかってしまってはもう帰れない。
『お久しぶりです。お元気でしたか?』
「うん。お陰様で。そーちゃんのおかげでちゃんとした治療が受けれてるし、海くんが美味しい物を送ってくれるから元気になったわ」
『それは良かった。でも、あまり無理はしないように。少しでもおかしいと思ったら休むようにしてくださいね』
「ふふ。まるでお医者様だわ」
『口うるさいってことですか?』
「そうじゃないわ。心配しすぎってこと」
『しすぎるくらいが丁度いいんですよ』
くすくす笑うミツバを見ていると自然とこちらも笑顔になってくる。それは総悟も同じようで、ミツバを眺めながらとても嬉しそうに笑っていた。
.