第62幕
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「海さん、ちょっと席外しますけど大丈夫ですか?」
披露宴が始まったタイミングで総悟は席を立つ。これから近藤とゴリラ王女が入場するというのに何処に行くというのか。
『人様に……ってまあゴリラしかいねぇけど。他の来賓に迷惑かけないようにな』
「へい。気をつけます」
素直に頷いた総悟は朔夜を連れてフラフラとどこかへと向かった。その背を目で追うと行き着いた場所は銀時たちが座っている席。総悟は銀時に話しかける。その途中で海の方を指差し、銀時と共にこちらへと顔を向けた。
銀時が海の方を見るよりも前に目を逸らす。
『余計なことを』
海から聞けないなら銀時に聞けばいいと思ったのだろう。そう簡単に銀時が話すとは思えないが。
ぼうっと天井を見つめた後に近藤とゴリラ王女の方を見やる。この世の終わりのような表情を浮かべている近藤に反してゴリラ王女はほんのりと頬を赤く染めて照れていた。
このまま披露宴が無事に終わったら近藤は猩猩星で正式に婚礼を挙げる予定だ。出来ることならこれを阻止したいのだが、海たちが表立って動くことは出来ない。
この結婚は地球と猩猩星の関係を考えた政略的なもの。松平が仲介人として間を取り繕っているせいで近藤は言いなりになってしまっている。下手に動けばそれは真選組壊滅になりえるのだ。
唯一この場をぶち壊せるであろう頼みの綱も期待出来ない今、近藤には松平によって仕組まれてしまったレールの上を走ってもらうしかない。このままゴリラ王女と結婚して猩猩星との結び付きを強くしてもらうしか。
「それでは新郎新婦どうぞ前へ」
司会の進行で近藤たちは前へと出される。
「皆様、大変長らくお待たせいたしました。ではこれより夫婦初めての共同作業に移らせていただきます」
スタッフが持ってきたのはゴリラ王女の体格に合わせたベッド。
結婚式での共同作業といえばケーキ入刀が一般的なのだが、猩猩星での共同作業はどうやら一風変わっているらしい。
『これから何を見させられるんだよ……』
ベッドに寝転ぶゴリラ王女と顔を真っ青にして固まる近藤。
誰か助けてくれと言わんばかりに近藤はキョロキョロと周りを見るが誰も救いの手を伸ばさない。いや、伸ばせない。
『ここは地獄か』
ゴリラと人間の絡み合いなんて誰が見たいと思うんだ。他人のまぐわいだって見るのをはばかられるというのに動物と人間との異種交尾など需要はない。
『ゴリラみたいだとは思うけど一応近藤さん人間だからなぁ……』
周囲のゴリラにガン見されてしまってはもう近藤はどこにも逃げられない。
心の中で合掌しつつ海はバナナへと手を伸ばす。近藤のためにもここから先は見なかったことにしよう。部下たちがいる前でゴリラと交わるなんてこんな生き地獄。見ない方がいい。
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