第61幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「クソッ……!」
『どうすんだ?お前連戦はきついだろ。かと言って新八が相手できるようなやつでもないし逃げ切れるかも怪しい』
厠で近藤を待っている間に柳生に見つかった海たちは森の中へと逃げていた。柳生はもう海たちのすぐそこまで迫ってきている。
ここで追いつかれたら確実に負けるだろう。新八を守り切れるほど土方は万全な状態ではない。北大路と対決する前であればなんとかなったかもしれないが、今は柳生から逃げるので精一杯だ。
大将である新八の皿が割れればこの決闘は終わりとなってしまう。
「行け。大将を守れ」
「土方さん!?」
『いいんだな?』
新八の腕を掴んで歩き出す。互いに背を向けているから表情はわからないが、土方は笑っているような気がした。
「あぁ。そいつがやられちまったら終わりだからな。そいつを安全なとこに連れてけ」
『手が出せないってのがなんとももどかしいな』
決闘に参加していれば海が柳生の相手をすることが出来た。土方に新八を任せて先に行かせることが出来たのに。
今それを言ったところでどうしようもない。不参加である海が出来ることは新八に敵が近づいてきているということを知らせることだけ。
土方に柳生を任せて海は新八を連れて本邸へと向かう。
「海さん!あんな状態の土方さんを置いていくなんて!」
『置いていったんじゃない。任せたんだ』
「無理ですよ!さっき四天王の人とやり合ったばっかなのに!」
『仕方ないだろ。ここでお前がやられる訳にはいかない。大将がやられたら決闘は終わる。お妙さんは柳生のところに嫁ぐことになるんだぞ?』
それでもいいのかと聞けば、新八は心底嫌そうな顔をして言葉を飲み込んだ。
お妙が居るであろう本邸へと土足で上がり込む。すれ違う使用人たちに一言詫びを入れながら廊下を走り続けていると突き当たりに人影が見えた。
『新八!突き当たりに誰かいる!』
「はい!」
突き当たりでちっさいおっさんがお妙の行く手を阻もうとしているのが見え、新八はそのおっさんに飛び蹴りをかます。
「新ちゃん!それに海くんも……!」
『お妙さん、新八!こっちだ!』
騒ぎを聞きつけた女中たちがお妙を取り戻そうと追いかけてくる。やっと姉弟で話し合える機会が生まれたというのに他人に邪魔されては困る。二人の背中を押して廊下を走るようにと促す。
「新ちゃん、ちょっと離して……」
「うるせぇ!僕は姉上の言うことなんて金輪際聞きません。何も言わないで勝手にこんな所に嫁いでいってしまう人なんだ、だったら僕も勝手に姉上を取り返します!」
『ということだから新八の話を聞いてやってくんない?』
たまたま見つけた空き室に二人を押し込める。
「海くん!!」
『あの人たちはこっちで引き付けてやる。だからその間に話しとけ』
ぴしゃりと襖を閉じてまた走り出す。新八たちがいる部屋から女中たちの目を逸らす為にわざと彼女らの視界に入るようにしながら。
『まったく……さっきのマヨネーズがきてるな』
大量に食べてしまったマヨネーズのせいで胃がもたれている。気持ち悪さを感じながら屋敷の中を走り回るのはどんな苦行だ。
『これで何も解決しませんでしただったら容赦しないからな』
.