第60幕
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『お前人に嫌われるタイプだろ……』
東城から逃げ回って暫く経った。互いに息を切らしながら逃げては追いかけの繰り返し。
「あなたみたいな人に若が負けるはずありません!さぁ、刀を抜きなさい!」
『だから言ってんだろが。お前の相手は俺じゃないって』
「だから皿を置いているでしょうが!」
『置いてたら関係無いにはならないだろうが!』
皿を割った方が勝ちとなる勝負だから東城本人に手を出したくらいでは勝負には差し支えない。でも、ここで東城が動けなくなるほどの怪我を負わせてしまったら海が手を出した判定になってしまう。
だからこうして逃げ回っているのだが、そろそろ疲れてきた。怪我をさせることなく東城を気絶させようかと思った頃、別の人間が顔を出したことによりこの鬼ごっこは終わりを告げた。
「貴様らここで何をしている」
「若!これには深いわけが……!」
庭に来た柳生が訝しげに海を見る。向こうは海が人数に入っていないのを知っているから東城と共にいるのを疑っているのだろう。
その疑いを晴らすために両手を上げて首を横に振った。
『そいつがいきなり襲ってきたんだよ。俺は参加してないから相手しないって言ってるのに追いかけてきてな。困ってたところでお前が来たってところ』
「こんな場所で油を売っている貴様が悪いんだろう」
『俺のせいかよ』
縁側でのんびりと空を眺めて居ただけなのに突然決闘を申し込まれ、それを拒否したら襲われたというのに。
『まあいい。こちらは逃げてただけだから手は一切出してない。俺は別の場所で待機するから』
これで漸く静かになるとほっと胸を撫で下ろして柳生に背を向ける。
「待て」
『うん?』
「何故ここで東城をやらなかったんだ」
『なんでってそれはルール違反だろ』
「僕が来なければ誰がやったかは分からないだろう」
『俺が手を出す必要なんてどこにもない』
海が手を出さなくてもこの対決はきっと銀時たちが勝つ。そう信じているから手を出すことはしなかった。
「そんな甘い考えで負けた時はどうするんだ?」
『負けた時?その時は俺がここを潰す。お妙さんが柳生の所に嫁ぎたくないって言うならだけど』
結局のところこれは当人同士の話でしか解決しない。お妙が柳生の元に嫁ぎたいと思っているのであれば婚姻を進めればいいし、嫁ぎたくないと思っているのであれば力づくでも彼女を取り戻す。
銀時たちが万が一負けてしまった時は海がお妙を迎えに行くつもりでいる。その時に柳生家総出で海を止めに来ると言うのであれば覚悟をしてもらわねば。
『下手したらお前帰る家無くなるかもしれないから。そこんところは覚悟しておけよ?』
あわあわと狼狽える東城と拳を握りしめて怒りに震える柳生を背にして歩き出す。少し煽りすぎたかなと反省しつつもほくそ笑んだ。
『ガキが舐めたこと言ってんじゃねぇよ』
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