第60幕
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皿を付けた銀時たちを見送ったあと、人気のない屋敷の縁側へと腰を下ろした。遠くの方から聞こえてくる神楽と総悟の声に苦笑いを浮かべながら空を見上げる。
お妙を取り戻すために手を貸すと言ったのに一人こんなところでぽつんと黄昏れる羽目になるとは思わなんだ。
『向こうは始まったみたいだな……それにしても暇だ』
「なら私と話をしませんか?」
先程から感じていた視線。そちらへと目を向けると柳生四天王と言っていた東城 歩が立っていた。
『あんた皿持ちだろうが。こんな所に居ていいのかよ』
「構いませんよ。そんな簡単に倒されるほど弱くはありませんからね」
四天王と言われているほどなのだからそんなの言われなくても分かっている。そこら辺にいる攘夷浪士たち並であれば、さっき道場で木刀を投げられた時に昏倒していたはずだから。
『敵側の人間と何を話すって?言っとくが、俺を人質にしてアイツらをおびき出そうとするなら容赦しねぇからな』
「そんな事をするのは三下ですよ。貴方には私個人で憎しみ……いえ興味があるだけです。若が貴方に世話になったみたいで」
『若……あぁ、柳生か』
「どこぞの馬の骨とわからぬ男に若が押し倒されたと聞いたものですから。一度この目で見ておかなくてはと」
『それならもう用は済んだだろ。こんなところに居たら俺が疑われる』
さっさと別のところにいけと東城に向けて手を払う。今はまだ銀時たちが動いているのだ。海が動き出すのはまだ早い。
「舐められたものですね。私は貴方に決闘を申し込みたいんですよ」
『断る。人の話を聞いてなかったのか?』
「聞いてましたよ。要は皿を置けばいい話でしょう」
東城は皿をつけていた紐を解いて縁側へと置き、木刀を海に向けて構える。
「貴様のような男が若を押し倒したなど万死に値する!あの麗しく可憐な若を倒すなんて……!私でもした事ないのに!!!」
『……なにこの気持ち悪いやつ』
柳生家の跡取りを倒したことによる仇討ち的なものかと思っていたがどうやら違うらしい。この男は柳生を純粋に敬愛しているというよりももっとなんか粘っこくて気持ち悪い感情を持っているようだ。
「さあ構えなさい!貴方はこの私が、東城歩が倒して見せます!」
『いや、だからお前は別の対戦者とやれよ』
「逃げる気ですか!!その薄汚い手で若に触れて逃げられると思っているんですか!!」
『逃げるも何も……さっきから言ってるだろ。お前の相手は俺じゃないって』
「じゃかしい!!貴様はここで斬る!!何がなんでも斬る!!若が受けた辱めはこの私が晴らします!!!」
騒がしい気持ち悪いうざいの三拍子。これ以上ここに居たらめんどくさい事になりそうだ。皿を置いているとはいえ、別の奴に見られたらルール違反だと言われかねないこの状況。一刻も早くここから退散しなくては。
『一人で勝手にやってろ!』
「逃げるな!!戦いなさい!!卑怯者!!」
『そのセリフ言っていいのはどっかのかまどくんだけだから!』
木刀を振り回している東城から逃げるように屋敷の周りをグルグルと回ったが諦めることなく追いかけられる。茂みに隠れたり木の上に登って隠れたが、東城は血なまこになって海を探し出していた。
それはもう気持ち悪いくらいに。
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