第59幕
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「新八君、君の姉への執着がここまで強いとは思わなかった」
「今日は弟としてではない。恒道館の主として来た。志村 妙は当道場の大切な門弟である。これをもらいたいのであれば主である僕に話を通すのが筋」
「話?何の話だ」
「同じく剣を学び生きる身なら分かるだろう。侍は口で語るより剣で語る方が早い」
「剣に生き、剣に死ぬのが侍ってもんでさぁ。ならば──」
「女も剣で奪っていけよ」
「私たちと勝負しろ、この野郎!」
正当な理由を述べていく新八たちに柳生は人を小馬鹿にしたような笑みを口元に浮かべる。
「勝負?ふっ……我が柳生流と君たちのオンボロ道場で勝負になると思っているのか?」
この師があってあの門下生たちがある。教えている人間たちの性根がこれではその下につく者もそれに習って考えを変えてしまう。セレブだから柳生家だから流派が違うから。そんな理由で馬鹿にされて相手にしないなんて。
『器の小さい人間だな。そんな奴に語ってほしくはない』
海の言葉にしんっと静まり返る。
「ならば貴様は語れるというのか?ただ強いだけの奴に何を語れると?」
『嫌味ならもっと上手く言えよ。それじゃただの負け犬の遠吠えにしかならねぇだろ?』
煽りに対して煽り返すと、柳生はこれでもかと海を睨みつける。
「海、ちょっと落ち着こうか。ね?」
「若、あの者たちとは話になりません」
銀時にまあまあと宥められ、柳生は東城によって止められる。今は口喧嘩をしている場合ではないと近藤にも言われて海は押し黙った。
話し合いでは解決しないとなり、海たちは道場を出る。雨はすっかり止んで空には一面分厚い灰色の雲が覆ってて気分がズンっと重くなった。
「君たちの方から押しかけてきたんだ。ルールは柳生流に従ってもらう」
「オセロでもやろうってのか?」
「言っとくけどオセロ強ぇぞ?四つ角全部取るぞ」
「ここに皿がある。この皿を各々体のどこかにつけ、互いにこれを割り合う。人数は六対六。戦いの場は柳生の敷地内全てだ。皿を割られた者からゲームから脱落し、大将の皿を割った方が勝利。それだけだ」
『六対六、ね。』
そうなると一人余ることになる。
『パス。俺は入らないから』
「えっ。海入らないの?」
『六人じゃ一人余るだろ。それなら俺は抜けさせてもらう』
「で、でも海さんが抜けちゃったら……!」
『俺の代わりに誰が抜けるんだ?各々理由を持ってここに来てるんだからここは譲る』
銀時と土方がいるのであれば大将である新八の身は守られるはず。神楽と総悟が先陣切るだろうから新八が表立って動くことは無い。いざとなったら近藤が盾になればいいと思う。
「心配はいらんぞ!新八君は俺が命を張って守る。色々話したい事もあるしな。うちに住むか俺がそっちに住むか」
「すいません!海さんやっぱ変わってください!」
『大丈夫だって。何かあったら近藤さんを盾にして逃げろ。その人はゴリラだから多少突かれてもピンピンしてるから』
「あなた自分の上司なんだと思ってるんですか」
『動物園から逃げ出したゴリラ』
銀時と土方を信じて頑張れと新八の肩をポンと叩くが、納得いかない様子で新八はブツブツと何か呟いていた。
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