第59幕
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「なんだい?君たちは。入門希望者?あの……悪いけどここ柳生家だからさ」
「結構、由緒正しい家柄だからセレブじゃないとちょっと。それともなに?道場破りとか言わないよね?まさか」
柳生家の門前へとたどり着くと門下生らしき二人組の男に止められた。
『だそうだけど。セレブじゃないとダメだってよ近藤さん』
「今どきの道場は世知辛いもんだな。剣を学ぶのに金が掛かるなんて」
『名門ともなれば授業料掛かるんじゃないか?でもこんな舐め腐った育てかたされるんだったら俺は一日で辞めるけど』
「ははっ、それは俺も同感だ」
柳生家へと向かう階段の前でばったり近藤と出くわした。どうしたのかと声をかけたら近藤は神妙な面持ちでお妙に会いに行くと呟くではないか。そういえばこの人はお妙に惚れているんだっけかと思い出し、共にこうして来ている。
「道場破りなんてそんな物騒な」
『そうそう。そんな生半可なもんじゃなくて、家門ごとぶっ潰してやるよ』
「いや、海さんそれ道場破りより物騒ですけど」
『それくらいの勢いじゃねぇとお妙さんは取り戻せないんじゃないか?』
近藤と共に門下生を蹴り飛ばし柳生家の門を潜る。
『刀じゃ流石にまずいか』
門下生を斬り殺すのは良くない。彼らはここの道場に教えを受けに来たものであって、柳生家のものではないから。とはいえ柳生家を潰そうなんて一ミリも思っていないが。
騒動を聞きつけた他の門下生がわらわらと出てくるのを微笑ましく眺める。
『さすが名門。廃刀令が出ているのにも関わらずこんなにも門下生を抱えているとは。例え表で使えなくても学を得ようとする志は尊敬する』
「海さん!感心してる場合じゃないですよ!」
刀が使えないのであれば持っている傘を使うしかない。向かってくる門下生に向けて傘を振り上げ、次々と昏倒していく。
海と近藤の猛攻に敵わないと判断した者がちらほらと道場の方へと逃げていく中、比較的ガタイの良い奴がその場に残って木刀を構えていた。
「やれ!たった三人だ囲んでしまえ!」
『近藤さんどう思う?』
「名門と言えども門下生の性格まで矯正するのは難しいようだな」
『それならうちのゴリラ塾にでも入ってもらうか?そうすれば腐った性根も良くなるだろ』
「ゴリラ塾ってなに!?そんな塾聞いたことないけど!」
『頭がゴリラだからゴリラ塾だろ』
「頭!?って、違うから!まだ王女を娶るとは決めてないからね!?」
『ほぼ決まりみたいなもんじゃねぇの?』
この間の見合いで何故か近藤はゴリラ王女に気に入られてしまった。あの感じでは婚姻までノンストップで進むだろう。
自分を池に投げ飛ばしたようなやつを好きになるってのもおかしな話だが、ゴリラの中ではきっと普通なのかもしれない。水浴びを手伝ったとかで。
『三人だけだから何とかなるって思ってたみたいだけど残念だったな』
門の方から吹っ飛んできた門下生が吠えていた男らの前へと倒れ込む。
『たった三人が七人になっちゃったみたいだけど?』
「銀さん!神楽ちゃん!」
「お前ら……」
「まったくよ、こんな雨の中じゃなくても良かったんじゃねぇか?」
ひっそりと現れたのは銀時と神楽。そしてその横には土方と総悟までいた。
『文句言わずに手伝えよ』
「……水も滴るいい男ってか?海の場合は色気が出過ぎててちょっと心配になるけど」
じっと人の顔を見てやれやれと肩をすくめる銀時へと門下生を投げつける。
「ちょっと!危ないだろうが!」
『余計なこと言ってないでここどうにかしろって言ってるだろ』
「ったく、これだから乱暴者は困るんだ」
ムッとした顔をしながら銀時は門下生たちを殴り倒していく。暫くそんな事をしていると、門下生たちは屋敷の方へと逃げていった。これで海たちが来たことが柳生の耳に入ることだろう。
『総悟、お前仕事サボったのか?今日の見回り担当してただろ』
「朔夜に押し付けました。暇そうにしてたんで。それより海さん、なんですかその無駄な色気。今すぐひん剥きたくなるって土方さんが言ってますよ」
「はぁ!?俺は何も言ってないけど!?」
これから柳生家相手に喧嘩を売るっていうのに騒がしい奴らだ。
段々と騒がしくなってくる柳生家の屋敷。話し合いでお妙を取り戻せればいいけど、きっとそう簡単にはことは進まないだろう。
『(本当に潰す気でいかないとダメっぽいか?)』
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