第58幕
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「……で、近藤さんは知っているの?」
「ああ?」
「私たちがこういう関係にあるって」
「こういう関係ってどういう関係だよ」
「はぁ……まったく。モテるというのも困ったものね。上司と部下で一人の女を取り合いなんてまるで昼ドラだわ。私は見てる方が良いのよ。取り合いをするなら銀さんとしてちょうだい。壁になって貴方たちのやり取りを見守るから」
「一度頭の中を洗ってもらった方がいいんじゃねぇか?」
「何を言ってるんですか。私は正常ですよ。ね、海くん」
二人の視線が自分に向けられる。話を全く聞いていなかったからなんの事なのか分からないが一応頷いておく。
『うん。よく分かんないけど』
「あら……海くんどれだけ飲んだの?」
『あったやつ』
テーブルに置かれていた酒は全て飲み干し、二人が話している間に支配人を捕まえて追加で注文した。どれも飲みやすいものばかりだったからぐびぐび飲んでしまって何杯飲んだかまでは定かでは無い。
「顔真っ赤よ。飲み過ぎには気をつけないと」
『大丈夫。これくらいなら』
「ダメよ。このままじゃ海くんもっと可愛くなっちゃうもの」
『可愛いのはお妙さんの方だろ?』
「えっ……?」
持っていたグラスを取り上げられ、それを取り返そうとお妙の手首を掴む。細い腕は少しでも力を込めたら折れそうだ。こんな腕でいつも近藤を追い払っているのかと思うと可哀想になってきた。
『俺が守ろうか』
「な、何言ってるの?」
『か弱い女性に執着してるゴリラなんて気持ち悪いだけだから。俺が守ってあげるよ』
だから心配することはない。そう言って微笑みかけるとお妙はブワッと顔を赤くさせた。
「な、な、何を言ってるの!?」
「海、もう酒は飲むな」
フワフワした頭では何も考えられない。とりあえず今は取られてしまったものを取り返そうと手を伸ばす。
「いい加減にしろ。お前何杯飲んでるんだ」
『分からない。美味しかったから飲んだ』
「ちょっと土方さん海くんどうしちゃったの?」
「こいつは酔っ払うとめんどくせぇんだよ。誰彼構わず口説くようになる」
お妙の手にあったグラスを土方が手に取り一気に飲み干す。これでテーブルにある酒は無くなった。その代わりにと水を用意され、土方に飲めと言われてそれに口をつけた。
『土方』
「今度はなんだ」
『膝、貸して』
「あ?膝?」
土方の返答を聞くよりも先に空いている膝にぽすっと頭を乗せる。土方の隣でお妙が何か騒いでる気がしたが、そんなのに構っていられるほどの余裕は無い。
「お、お前なにやってんの!?」
『ねむい。ねる』
慌てふためいている土方に寝ると一言だけ残して目を閉じた。
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