『ん……』


頭を触られているのを感じて目が覚める。


｢海？｣


『銀……時？』


｢おはよう。ゆっくり休めたか？｣


『悪い、俺……』


どうやら銀時が使っていたベッドで眠りこけていたらしい。慌てて布団から出ようとしたが、銀時に止められて布団の中へと押し戻される。


｢いいよ。俺もごめんな心配かけて｣


『大丈夫。銀時の方が辛いだろ？』


自分が寝ていたから銀時は横になれなかっただろう。だから起き上がろうとしたのに銀時は頑なに海を布団から出そうとしない。


｢海、ちょっと聞いてもいい？｣


『なにを？』


｢色々と｣


困ったように笑う銀時に海は頷く。


｢大切にされてないって感じたりする？｣


『どういう意味だそれ』


｢そのまんまの意味。大事にされてないなぁって不安に思ったり……する？｣


『ない』


｢即答なのが怖いんだけど……｣


『あるって答えた方が良かったか？』


｢いや、素直に答えてもらえると嬉しいです｣


『思ったことは無い。むしろ……銀は過保護すぎるくらいだろ』


｢過保護？｣


『子供の頃からいつもそばに居るし、大人になっても何かと助けてくれてるだろ』


｢そりゃ好きなやつは守りたいって思うからな｣


それは海とて同じだ。銀時が傷つかないように護りたいと思う。だから力をつけた。


でも銀時の守備範囲が広すぎる気がしてならない。


『可愛い子には旅をさせよって言うだろ』


｢お前は可愛すぎるから旅なんてさせられません｣


ほらこれだ。


『これで大切にされてないなんて誰が思うよ』


｢俺もそう思ったんだけどよ。なんか違うらしいよ？｣


『何が？違わないだろ。見回りに行くたびに会うし、攘夷浪士を捕まえようとしてるときにタイミングよく顔出すし』


｢あー……それはほら。ね？｣


『いつの間にお前はストーカーになったんだ』


｢ストーカーじゃないから！たまたまそこに居合わせてるだけだから！おたくのゴリラと一緒にしないでくれる！？｣


必死に違うと訴えているが、銀時はストーカーと間違えられても仕方ないくらい出没している。近藤と違うのは隠れ方が上手いというだけ。普通の人なら気づかないかもしれないが、気配が読めてしまう海からしたら常にそばに居るようなものだ。


『そういうならもっと上手く気配消せよばか』


｢海相手には無理だろ。いいじゃん、ドS王子と多串くんには見つかってないんだから｣


『よくない。俺には……バレてるんだから』


もぞっと布団の中へと頭を隠す。


｢なに？照れちゃった？｣


『うるさい。眠いから寝る』


｢はいはい。おやすみ｣


小さく笑う声が聞こえたが聞こえない振りをして目を閉じた。


『銀』


｢ん？｣


『いつも、ありがとう』


｢どういたしまして｣





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