第57幕
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「海!おい大丈夫か!?」
倒れそうになった海の身体を慌てて抱きとめる。床に激突すること無く腕の中に収まり、ホッとしたのもつかの間身体中に激痛が走って呻きそうになった。
「兄さん!……兄さん?」
朔夜が声をかけても海は無言のまま。そろりと顔を覗いてみると綺麗な黒目はしっかりと閉じられていた。
「寝てるだけっぽいな。こいつまた徹夜したのか?」
目の下にはうっすらとくまが見える。くまがバレないようにと化粧品で隠そうとしたのか、目元に茶色い粉が付いていた。
「坂田さんが怪我をして入院したって聞いたから。お見舞いに行くために徹夜して仕事終わらせたんですよ」
「そんな無理してまで来なくったっていいだろ」
寝落ちてしまった海は暫く目覚めそうもない。自分の横に寝かして布団を掛けてやれば、海はもぞもぞと布団の中へと潜っていく。
「昨日、新八さんと神楽が屯所に来たんです。坂田さんが大怪我して病院に運ばれたって。兄さん二人の前では平気そうな顔してたけど、部屋に戻った時凄く心配してたんですよ」
そう言って朔夜は銀時を睨む。
「それは……悪かったな」
「ずるいですよ。坂田さんは」
「ずるい?」
「兄さんはいつも坂田さんのこと心配してるのに。坂田さんは兄さんのことどうでもいいと思ってるんですか?」
「なんでそうなんの!?どうでもいいなんて思ってねぇよ」
「じゃあなんでいつも知らない女の人と歩いてるんですか?!」
「それは仕事であって別に好きでやってるわけじゃねぇよ」
「そんなの分からないですよ!見回りに行く度に坂田さんは女の人と歩いてるじゃないですか!」
「そんなに一緒に居ないけど!?お前の見間違いじゃねぇか!?」
ここ数日の間は確かに女を連れていた。でもそれは依頼を受けたから一緒にいただけであって、個人的な理由で一緒に居た訳では無い。
「仕事だったんだから仕方ないだろ。それはこいつも知ってる」
「知ってるのと受け入れてるのは違いますよ」
「……お前何が言いたいの?」
「坂田さんはもう少し兄さんのこと大切にしてください。それが出来ないなら……兄さんに近づかないで」
泣きそうな顔で呟いた朔夜は銀時のことをキッと睨んでから病室を飛び出していった。
「誰が大切にしてないって?」
横で寝ている海の頭を撫でながら朔夜が出ていった先を見つめる。
出来ることなら朔夜の後を追って文句を言いたいところだが今はそれが出来ない。
ふつふつと湧き上がってくる苛立ちを消し去るべく銀時は黙って海の頭を撫で続けた。
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