第84幕
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利点があると説いても土方は難色を示す。なんとかセンサー式を導入させようと隈無は土方を説得すべく熱く語り始める。
『下品すぎないかこの話』
隈無の言いたいことは分かるが、何度もタマ菌タマ菌と聞いていると嫌になってくる。
「兄さんはセンサー式に変えるの賛成なの?」
『楽だろ。手をかざすだけで水が出てくるんだから』
「でも、停電になっちゃったら使えないんだよね?」
『まあな。対策として全箇所をセンサー式にするんじゃなくて、一箇所だけ手動の水道にしておく。そうすればいざって時に困らないだろ』
センサー式に変えるのは厠の水道だけではないはず。他の場所もセンサー式を導入するのであれば、その中の一つは手動にしておいた方がいい。
停電で使えないという時もあるだろうし、センサーが反応しないという故障も有り得るのだ。そういう時のために。
「イヤな言い方すんじゃねぇよ!なんで俺だけみたいになってんだよ!それを言うならあの蛇口使ってるてめぇら全員タマ菌まみれだろうが!」
隈無の言い分に土方がついにキレる。
「残念でしたね土方さん。俺は用を足してもあそこで手やを洗いやせん。そのまま厠を出ます」
総悟の発言にそっと身を引く。
「おい!海てめぇなんで距離空けやがった!」
『不潔だな、と』
「はあ!?誰が不潔だ、誰が!!」
『厠に行ったのならちゃんと手を洗えよ』
「なんで俺が手を洗ってねぇことになってんだ!!洗ってないのはこっち!俺じゃなくて総悟!!」
誰が洗っていないというのは分かっているが、なんとなく土方から離れる。
『その総悟と一緒にいるんだからお前もあまり変わらないだろ』
「それならてめえも変わらねぇだろうが!!!!」
『最近、総悟と見廻り一緒に出てないし。部屋にも来させてないから』
「だから何!?自分は綺麗だとでも言いてえのか!?」
『俺は厠のあとちゃんと手を洗ってるからな』
「俺も洗ってるっつってんだろうが!!!!!」
ヒートアップしていく土方の怒りに段々と付き合うの疲れてきた。ここに何しに来たのかを忘れてしまう前に本題に戻らなくては。
『もういい。そんなことよりどうするんだ?隈無が言ったセンサー式を導入するのであればその旨の届けを作成するが?』
暴れている土方を冷めた目で見遣る。
たまたま通りかかった山崎も土方の餌食となってしまった。このままでは話どころでは無くなってしまう。
『おい。いい加減にしろよ。こっちは仕事が溜まってんだよ。書類を作るのか作らないのか決めろ』
「作っておけ!センサー式だかなんだか知らねえが、タマ菌が無くなるなら!!」
もはや何に怒っているのかすらも分からない。総悟と朔夜を巻き込んで土方は騒いでいる。そんな所に巻き込まれまいと海は早々にその場をあとにした。
その後、土方たちは厠革命を行ったらしいが、上手くいかずに断念。厠へと行った時に見た光景は板にナニを突っ込んだまま抜けなくなっちゃったと嘆く近藤の姿だった。
『何やってんだよこんなところで……』
「いやぁ、穴があいてたからそこに入れるもんだと思って入れてみたんだがな?その……穴に入れてるあいだに……うん。エヘッ」
『……照れるな気持ち悪い』
真選組にまともな上司は一人もいないのかとしみじみ思ってしまった一日だった。
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