第57幕
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「兄さん……大丈夫?」
『大丈夫。少し眠いだけだから』
「なら今日は屯所帰って寝ようよ。きっと坂田さんもそう言うと思うよ」
朔夜を連れて海は大江戸病院へと来ている。昨日、銀時がバイク事故を起こして大怪我をしたと神楽から聞いて驚いた。
厄介事に首を突っ込んでは毎回怪我をしてくる人間なので、大怪我だと言われたくらいではそんなに不安にはならない。ただ、バイクに乗っていたのは銀時だけでなく、他の人間も乗っていたというから固まってしまった。銀時一人ならまだしも、他人を後ろに乗せて事故を起こしたとなると大変なことになる。
幸いにも後ろに乗っていた人は無事だったらしく、銀時だけが入院している状態。
入院しているなら見舞いに行った方がいいかと思ったのだが、すぐに動けるほど海も暇じゃない。徹夜してなんとか急ぎの仕事を終わらせてここに来ている。そのせいでとても眠く頭がフラフラと揺れていた。
「兄さん!病室わかったよ!」
『ん、悪いな』
「ううん。大丈夫、早く行ってみよう?死んでるかもしれないから」
『うん?』
不穏な言葉が聞こえた気がしたが、朔夜がそんな事を言うわけがない。眠さのあまり空耳が聞こえたのかと聞き流した。
「こんにちはー!坂田さんいますかー?」
『朔夜、もう少し静かに入れ。他の人の迷惑になる』
朔夜の後を追って病室へと入るが、カーテンで仕切られていてどこに銀時が居るのかは分からない。
眠い頭でどうしようかと考えていると、朔夜がカーテンをシャッ!と勢いよく開けた。
『朔夜!違う人だったらどうすんだ』
「……兄さん。帰ろう?」
中を見た朔夜は冷たい目で中を見てからこちらへと振り返る。
『朔夜?』
「帰ろう?あんな不潔な人と会っちゃダメだよ」
『不潔?』
「誰が不潔だ!誰が!!」
聞き馴染みのある声と共にカーテンの向こう側から銀時が顔を出す。頭に包帯が巻かれているが元気そうだ。
『事故を起こして入院してるって神楽から聞いた。怪我の具合は──』
どうだ?と聞こうとして止まる。ベッドにいたのは銀時だけでなくナース服を着た猿飛もいた。何故か縛られている状態でベッドに座っており顔は赤くなっている。
「あっいや、これは!こいつが勝手にやっただけだから!!」
「酷い!わたしが包帯を取り替えるって言ったら銀さんが動き出したんじゃない!」
「俺はやるなって言っただろうが!大体、両手こんなんでどうやってお前を縛れんだよ!!」
「それは……愛の力で」
「そんなんあったら海を縛ってるわァァ!!」
誰が見ても男女で戯れているように見える図。ああでもないこうでもないと争う二人をぼーっと眺める。
「海!?違うからね!?断じて浮気とかじゃないからね!?」
『どうでもいい』
「よくねぇから!誤解だから!」
本当にどうでもいい。こんなに元気なのであれば見舞いに来る必要はなかったのでは無いかと思えてきた。徹夜して仕事を終わらせてきたのは無意味だったのかと。
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