第82幕
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「銀さん!銀さん!凄いですよ!」
「あんま騒ぐんじゃねぇよ」
「でも、銀ちゃんホントに凄いネ!」
「ちったぁ落ち着けっての」
騒ぐ子供たちを涼し気な目をしている銀時も内心では飛び上がるほどにテンションが高い。ただ、それを表に出したら大人気ないので必死に隠しているが。
今日は久しぶりの依頼を受けた。本当は家でゴロゴロしているつもりだったが、依頼主にどうしても来て欲しいと頼まれ、そして報酬もそれなりの額をくれるというではないか。これは行かない手はないと新八たちを連れて家を出た。
銀時たちを迎えに来た車は黒塗りの高級車。かぶき町ではなかなかお目にかかれない代物だ。相手はどこかの富豪なのだろう。それなら報酬も期待できる。
きっとここで引き返していれば、この後にくる苦労を背負わなくて良かったかもしれない。この時の銀時はそんなこと全く気にもせず、誘われるがまま車へと乗り込んだ。
徐々に見えてくる屋敷に新八と神楽が喜ぶ。それを見て銀時もにやけるのが止まらなかった。
車が屋敷の門の前で止まると運転手がドアを開けてくれる。車から出てすぐ目に入る立派な門。
「幕府の高官か何かですかね」
「俺達も有名になったもんだな」
「張り切って行こう!」
ゆっくりと開かれていく門。その中へと足を踏み入れた所で違和感に気づいた。
門の先にはでかい屋敷。屋敷の玄関まで続く一直線の石畳。
そして強面の男。明らかに堅気の人間ではない雰囲気を醸し出しながら門から屋敷の入口までの距離を隙間なく人の壁が作られていた。
ゆっくりと閉じられていく門が無情にも銀時たちの退路を奪った。
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
屋敷の中へと案内される間にも至る所から飛ばされる視線。どれも気持ちのいいものでは無い。怯える新八と戸惑う神楽を連れて大広間へと来た。
三人固まって座布団の上に座る。そのまわりを囲うように座る強面集団。突き刺さる視線に銀時はなんとか耐えていたが、斜め後ろに座っていた新八は顔を真っ青にしながら震える声で話しかけてきた。
「銀さん、体中に穴が開きそうです」
「メンチってレベルじゃねぇぞ。ヤツら目からビーム出そうとしてんじゃねぇか?いいか?恐らくこれから俺たちは"真っ白い粉を運べ"とかそういうことを言われるかもしれんが、きっとそれは小麦粉だから黙っておとなーしく運ぶんだぞ?」
「分かったアル」
「やめてください銀さん。早々に諦めないでください」
素直に返事をする神楽と怖がりつつも反論してくる新八。銀時たちがコソコソと話し合っている間に一人の男が話しかけてきた。
「あんたらが万事屋か?」
呼ばれて三人で男の顔を見上げる。
デコにバッテンの切り傷痕にサンタクロース並の白い髭。明らかに普通の人では無い。見た目はクリスマスに居そうなのに雰囲気は極道。少しでもヘマをしたらドラム缶に詰められて海に捨てられそうだ。
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