第56幕
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勝負が始まってから暫く経った頃。餡泥牝堕の方に並んでいた家族が団子屋の方へと足を向けた。子供たちに引っ張られるように両親はこちらへとやってくる。
『おじさん、お盆借りてもいいか?』
「ん?あぁ、構わないよ」
店主からお盆を借りて子供らの元へと皿を持っていく。
『ほら、これ食えよ』
盆に乗せた団子を差し出すと、子供らは満面の笑みで受け取る。口いっぱいに団子を詰め込む姿はまるでリスのようだ。
「わぁー!ありがとうお姉ちゃん!」
『おね……。俺はお兄ちゃんの方がいいかな』
「お兄ちゃん?」
『そ、お兄ちゃん。ほら食べな』
「うん!」
お腹が空いていたのか盆にあった団子は一つ残らず家族の胃の中へと消えていった。幸せそうに食べている姿を見れば誰もが美味しそうだと興味を抱く。ちらほらと餡泥牝堕から団子屋の方へと移る人が増えたが、銀時がそれを許すはずもなく蹴散らしていった。
『何やってんだか……』
「お兄ちゃんありがとう!」
『俺じゃなくてあそこにいるおじさんにお礼をいっておいで』
神楽と新八がひたすら食べているところで必死に皿を取り換えている店主を指差す。横にいる二人の勢いが凄まじいせいで子供らは青ざめた顔を浮かべる。怯えながらも店主のところへ行って小さく頭を下げると、店主はにこやかな笑みで子供らの頭を撫でた。
『ちゃんと言えたか?』
「うん!ありがとうって言われた!」
『そうか。良かったな』
親に手を引かれて帰っていく子供らに手を振って見送った。
そろそろ勝負の方も時間が迫ってきている。
神楽が頑張って団子を食べていたのだが、目にタレが入ってしまったことによって脱落。新八も神楽を背負って居なくなった。
『無理するなよ』
「無理なんかしてねぇよ。俺を誰だと思ってんだ。糖分王の銀さんだぞ?」
糖分と書かれたハチマキを頭に巻いて団子を食べる銀時。医者から糖分を抑えるようにと言われているはずなのに。
残り一分のところで両者共に団子の数はあと一本。それを先に食べ終えた方が勝ちとなるのだが、ここまで食べ続けてきた二人にはその一本が中々口に入らない。
「ふふっ……飽きが来たか。そりゃ何百皿も同じ団子食べてりゃ飽きも来るわな」
「飽きたですって?そんなバカな!今まであらゆる甘味を味わい、それを生かし様々な甘味を作り出してきた私の逸品を飽きるですって!?」
おじさんの言葉にブチ切れた酔唾が我を忘れて暴言を吐く。そして動きが止まっている銀時を指差してお前も同じだと指摘した。
『銀、無理すんなって』
「いや……これは俺がなんとかしなきゃいけねぇ」
『でも……』
「大丈夫だ。心配すんな」
苦しそうな顔で言われても全く説得力がない。無理をするようであれば横から取ってしまおうかと思った矢先、団子屋の店主が残っていた一本をおもむろに掴んで銀時の口の中へと突っ込んだ。
「なら、きんたま袋にでも入れときな」
「んぐっ……」
『おじさん……これはいくらなんでもやばくないか?』
「銀さんなら大丈夫だろう」
『流石にきついだろこれは』
団子を詰め込まれた銀時は真っ青な顔。お茶でも飲ませた方が良いかとその場を離れようとしたら肩をガシッと掴まれた。
振り返ると同時に銀時に口を塞がれる。口内に滑り込んできた丸いもの。
「し、死ぬかと思った……」
『……今から殺してやろうか?』
「悪かったって!な!?俺、マジで死にそうだったんだって!」
『だったら言えばいいだろうが。俺は無理するなと言ったはずだ』
「だってなんか情けないだろ」
『今一番情けないことしてるけどなお前』
こんな事をするなら最初から頼んでいれば良かったものを。
勝負に勝ったと喜んでいる娘さんと店主を横目にため息を零す。
『疲れた。今日はもう帰るからな』
「ちょ、待てって!コレどうにかして!!」
『自分でどうにかしろ』
満腹で動けなくなった銀時に飛びついた娘さん。喜びのあまり銀時に抱きついてキスをしている姿をゲンナリとした顔で見下げた。
これ以上は構っていられない。ここは巻き込まれる前に帰った方が良さそうだ。
『眠い。本日の営業はこれで終わり』
帰って寝る。今海が出来ることはこれだけ。
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