第79幕
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やっと列車が見えるところまで来ることが出来た。もう少しで海たちを助けられると思ったところで万斉に行く手を塞がれる。
列車に近づくのを阻止しようとする万斉に向けて木刀を何度も振り下ろす。ここまで幾度と邪魔をされて怒りは頂点に達している。怒りに任せて木刀を振り回していると、万斉は銀時に近づくのを躊躇い始めた。
「太刀筋が……リズムが見えない!」
「どけ、この野郎!!」
少しずつしか前に進めないのがもどかしい。
万斉が後ろへと引いた代わりに浪士が迫る。一人は木刀で倒し、もう一人は顔面を掴んで後ろへとぶん投げた。
「てめぇらはどけっつってんのが分かんねぇのか!てめぇらみてぇなタコ助に構ってる暇はねぇんだよ!」
線路の上に立つ万斉に向けて木刀を向けるが寸前で避けられる。その時、一瞬見えたもの。キラリと光る線のようなものが目に映った。
それは銀時の四肢に絡みついて身体の自由を奪う。
「くっ……弦?」
「ムリはせぬがいい。手足がちぎれるでござるよ。今更助けに行ったところでもう遅い。ぬしはまだ仲間が生きていると?例え、あの爆発の中で生き残っていようと策は幾重にも弄してあるでござる。桜樹もすぐに我らの手中へと落ちるだろう」
「てめぇ……海を連れてくつもりかッ!」
「晋助は桜樹を欲している。此度は真選組を崩すのと桜樹を連れていくのが拙者の任でござる」
「ふざけんじゃねぇ。あいつは……海はてめぇらなんざにはやらねぇ!!」
まだ高杉は海のことを諦めていなかった。そう易々と諦めるわけは無いと思っていたが、まさかこんな手を使ってまで海を拐おうとしているとは。
そんなことは絶対にさせない。海はもう二度と高杉の所へは行かせてはならない。
まとわりつく弦は服を、肉をきつく締め上げて離さなかった。
「手足がちぎれると言ったはずでござる。そんなにまでして奴らを助けたいのか」
「誰があんな連中助けに行きてぇかよ。止まらねぇんだよ、身体が言うこと聞かねぇ」
手首や足首から血が吹き出る。それでも前に進もうと力を入れ続けた。それはまだあそこに海がいるから、海がきっと生きていて待っているから。
ぶつんっと切れる弦に万斉が息を呑む。
「手足の一本や二本くれてやらぁ……だが、肉は切れてもこの糸……腐れ縁、切れるもんなら切ってみやがれ!」
全身から血を吹き出しながら身体に巻きついた弦をすべて切り、列車へと走り出す。
もう少し、あと少しで海の側に行ける。そうすれば彼を守れる。また失うなんて懲り懲りだ。
「はっ……!?」
視界の端をヘリが通りすぎて行く。それは列車の横で止まったかと思えば、車両に向けてガトリング砲を放った。
「海ィィィィ!!!!」
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