第56幕
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数日後、団子王選手権と書かれた看板の下で団子屋のおじさんと餡泥牝堕の店主、酔唾とその部下の天人が団子を前にして立っていた。
「海くん、すまないね……こんなことに巻き込んでしまって」
『いいよ。おじさんが作る団子は美味しくて好きだからさ』
「ありがとう。そう言ってくれるだけでどんだけ救われるか」
『大変かもしれないけど、おじさんには団子屋を続けて欲しい。じゃないと俺が見回り中に休憩できるところ無くなっちゃうだろ?』
海の見回りのルートにある唯一の甘味処なのだ。休憩場所としていつも利用している店だから無くなるのは寂しいし、店主ともこうして仲良くなったのだからその縁がこんな理由で絶たれるのも納得がいかない。
天人のせいで店が潰されたなんて尚更許せるはずもなかった。
「やだわ……小汚いオヤジと美人が抱き合うなんて。そんなオヤジよりも私とどう?」
『天人に興味はない』
すぱっと天人の言葉を切り伏せると、天人は悔しそうに歯ぎしりしながらこっちを見ていた。
「美人は怒ると怖いのね。でも、それがまたいいわ」
怒りを見せたかと思えば、酔唾は気持ち悪い笑みを浮かべて海をじっくりと眺める。その視線から逃れようとおじさんの後ろへと身を隠した。
選手権の為に呼ばれた司会者が団子屋の店主と酔唾を紹介してから勝負が始まる。一時間の間に一番皿を多く出した方が勝ち。圧倒的に餡泥牝堕の方に並んでいる人数の方が多い。団子屋の方にいるのは今のところ海だけなので、皿の消費量は圧倒的に負けている状態。
「海くん、無理しなくていいからね?」
『ん?うん、大丈夫』
ゆっくりだが一つずつ皿を片付けていく海におじさんは心配そうな表情を浮かべる。無理して食べなくてもいいと言われつつ黙々と食べ進めていく。朝から書類に追われていたせいで今日は何も食べていない。そんな中で見回りをしていたせいでとてもお腹が空いている。今なら何でも食べれそうな気分だ。
『疲れた時には甘いものがいいって言うけど本当にそうだな』
疲れた時はいつもカルメ焼きを食べているのだが、たまには団子も良いだろう。
一人で十皿ほど食べ終えた頃、騒がしい声が聞こえてきた。
「海ー!!お団子食べにきたヨ!」
勢いよく手を振っている神楽に向けて手を振り返す。
『遅かったな』
「悪いな。うちのお嬢さんがもたもたしてっから遅くなっちまった」
「私のせいじゃないアル。今日も海と会えるからって銀ちゃん必死に髪型セットしてたせいヨ」
「そういうことは言わないのォォォォ!」
『セットしてもその髪じゃ意味ないだろ』
「変わるから!少しは良くなるから!」
『少しは、だろ。そもそもセットする理由あんのかよ』
「そ、れは……その……」
「まあまあ。銀さんの天パは今に始まったことじゃないですし」
恥ずかしそうにモジモジしている銀時に新八は苦笑いを浮かべる。
『銀時、俺だけじゃ無理』
「はいはい。そう言いつつも結構食ってんじゃねぇか」
『朝から何も食べてなかったからな』
「ちゃんと飯食えよ。仕事も大切かもしんねぇけど、飯食う時間取れないほど詰め込むなよ。それじゃ倒れるぞ」
店主から団子を受け取りながら銀時は海の頭に手を乗せ、ポンポンと撫でてから離れていった。
『気をつける』
「そう言ってお前は同じこと繰り返すんだけどね」
ため息混じりの笑みを向けられて海はサッと目をそらした。