第77幕
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ボロボロになったパトカーを無理やり動かしながら銀時たちは近藤が乗っている列車を追っていた。
近藤がこのままでは暗殺されてしまうと喚く新八の横で、土方が自分は関係ないとぶつぶつ呟いているのをバックミラーで見る。その顔は酷く怯えていて恐怖に慄いていた。
「土方さん!しっかりしてください土方さん!」
「僕知らないもん……知らないもん……」
「このままじゃあなたの大切な人が、大切なものが全部なくなっちゃうかもしれないんですよ!?」
新八が必死に土方を諭すが、それでも土方を顔を背けて知らないと繰り返す。
もういい加減にしろと怒鳴りたい気持ちを抑える。
本当ならこんなこと無視しても構わなかった。土方がヘタレになろうと殺されそうになっていようと銀時には関係無いのだから。
そう言い切れたらどれだけ楽だったか。見捨てるにはあまりにも関わりすぎた。彼らとの縁が太くなりすぎてしまったのだ。
それに真選組には海がいる。まだ彼の安否も分からずじまいだ。そんな状態で見捨てられるわけも無くのこのこ出てきてしまった。
「神楽、無線で全車両から本部まで繋げろ」
「アイアイサー!」
神楽がスイッチをカチカチ押していき全てにランプが着いた状態で無線機を渡される。
「あー、もしもし?聞こえますか?税金泥棒。伊東派だかマヨネーズ派だか知らねぇが、全ての税金泥棒どもに告ぐ。今すぐ持ち場を離れ、近藤の乗った列車を追え。モタモタしてたらてめぇらの大将首取られちゃうよ。こいつは命令だ。背いたヤツには士道不覚悟で切腹してもらいまーす」
"いたずらか!てめぇ、誰だ!"
スピーカーから聞こえてくる隊士の声。その声はどれも銀時に怒りを向けていた。ここまで分かりやすく言っているというのにまだ理解していないのか。
常々真選組は脳筋集団だと思っていたが、これはあながち間違いではなさそうだ。
「てめぇこそ誰に口利いてんだ?誰だと?真選組副長、土方 十四郎だこの野郎!!」
がちゃんっ!と無線機を叩きつけるようにして戻す。すると、助手席に座っていた神楽が着流しをクイッと引っ張ってきた。
「海は……大丈夫……かな」
「……大丈夫だ。あいつがそんな簡単に死ぬわけがねぇ」
「でも海いないアル」
「知ってんだろ?アイツの方向音痴。知らない場所でも知ってる場所でも迷子になんの。そういうやつなの」
神楽を安心させるため頭をわしゃっと乱雑に撫で回す。
本当は自分が安心したいが為に出た言葉だ。きっと海なら大丈夫だと思い込みたいがゆえの言葉。
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