第77幕
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「とにかく、一度屯所に戻ってきてください!」
「えっ?でも拙者、クビになった身だし……」
グイッと隊士に腕を引っ張られるも、土方は首を振って断る。
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」
周りの隊士達は土方を囲んでなんとか連れていこうとしていた。なんだかその姿は不穏だ。本当に土方を屯所に連れ戻そうとしているのか。彼らの動向を注意深く見ていると、その中の一人が刀に手を掛けているのが見えた。
「さぁ早く、副長も山崎の所へ……」
引き抜かれた刀の切っ先は土方へと向けられる。瞬時に土方の襟を掴んで刀から引き離してその場から駆け出した。
「いたたたた!坂田氏!Gジャンの肩の部分が食いこんでる!さながらベルセルクのガッツが如く腕がちぎれそうでござる!」
「うるせぇ!てめぇ黙ってろ!それにガッツの腕はGジャンなんかで千切れたんじゃねぇ!自分で切り落としたんだッ!!」
「なんで真選組が土方さんを!?」
土方は副長として隊士たちから慕われていたのでは無いのか。確かに一言目二言目には斬るとか切腹とか言ってたような気がしたが、それでも彼らは土方のことを好いていた気がする。
「どうなってんだこれ!」
「銀さん、まさか海さんも……!」
「んなことあるんけねぇだろ!アイツに限ってそれはねぇ!」
海が殺られるなんてことは無いはずだ。相手が天人ならまだしも同じ人間であれば尚更。しかも真選組の隊士であればもっと……。
「ダメだ……」
「どうしたんですか!?」
「あいつは……仲間を裏切れない」
同士討ちを苦手としている海が隊士たちに刀を向けられるか怪しい。もし海の方も隊士たちに刀を向けられていたら。
あいつはきっと斬れない。
「もう仲間なんて言ってられる状態じゃねぇだろう!」
路地裏を一直線に走る銀時たちの前にパトカーが走ってくる。相手は確実にこちらを仕留めようとしているのだ。クビになったとはいえかつての仲間である土方のことを。
「っくそ!」
「銀ちゃん!私に任せるネ!」
神楽が猛スピードで迫ってきているパトカーに向けて手を向ける。パトカーを素手で止めている神楽の横をすり抜けて運転手を殴りつけた。
「あー、あー、こちら三番隊。こちら三番隊。応答願います、どうぞ」
そのままパトカーを拝借し、状況把握のために無線を飛ばす。
"土方は見つかったか?"
「見つかりましたが超かわいくて強い味方がついてまして、かないませんでした。どうぞアル」
銀時の手からふんだくるようにして神楽が応答してしまい、慌てて無線機を取り返す。
"どんな手を使ってでも殺せ。近藤を消したとしても土方がいたのでは意味が無い。近藤暗殺を前に不安要素は全て除く。桜樹も今頃、伊東さんによって始末されているだろう"
「近藤さんと土方さんを暗殺?それに海さんも始末って……」
「銀ちゃん!海は……海は大丈夫アルか!?」
「……知らねぇよ」
行方不明と言ったのは嘘だったのか。
もう既に海は敵の手に落ちている。
やはり抵抗出来なかったのだろう。今も昔も変わらない。海は身近な人間に対して甘すぎる。それは海の良いところでもあり、悪い所でもある。
どれだけ年月が経っても自分の知っている海のままなのだと嬉しく思いつつも悔しさも感じた。
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