第76幕
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「あの……すみませんでした。まさかあんな所にあなたがいるとは思わなかったもので。ひ……土方さん」
そう謝った新八の前に座っているのは真選組副長、土方十四郎だった。
いつもの昼下がり。銀時と神楽はのんびりと部屋でくつろいでいた。
依頼が無いのはいつもの事なので、今日も暇つぶしにテレビを見ていた。たまたまつけた番組は何やら辛気臭そうな顔がズラリと並んでおり、みなそれぞれ手に何かを持っている。
「なんだこれ」
オタクサミット、朝まで生討論。朝まで何を話し合うというのだ。オタクはオタクらしくア○メイ○にでも行っていればいいものを。
「やばい!始まってしまったアル!」
始まった番組を見て神楽は焦る。ガサゴソとビデオレコーダーをいじくりまわしていた。
「なにやってんのお前」
「新八の勇姿を録画してやらないと」
「新八?そういや今日来てねぇよな」
いつも朝早くに来ては家のことをあれやこれやとやってくれる。従業員というよりも家政婦に近い存在と化している新八が今日に限って来なかった。
その理由はテレビを見ることで分かったが。
テレビの向こう側で揉み合い始めたオタクたち。その中にまさかあの鬼の副長と呼ばれている土方十四郎が紛れ込んでいたなんて誰が想像できたか。
「いや、いいんだよ。この限定モデルのフィギュア、トモエ5000が無事だっただけでもよしとするさ」
「あ……ありがとうございます」
新八は土方を連れて万事屋へと帰ってきた。
なんでこいつまで連れてきたんだと問い詰めたが、新八は土方の様子がおかしいの一点張り。テレビで見ていた時点でおかしいことには気づいていたが、そんなこと銀時には何も関係ない。この男とはなるべく会いたくないのに。
仕方なく家に招き入れてやれば、土方は会話もそこそこに私物らしきフィギュアを眺め始める。
「ていうか……えっ?おたく土方さんですよね?ホントに」
「何を言っているんだよ?坂田氏」
「坂田氏?」
「このとおり正真正銘、土方 十四郎でござる」
「ござる?」
警察手帳を見せられても信じられない。
口調も動きも全くの別人のように見える。本当に目の前にいる男は土方なのか怪しく思えた。
「あっ、神楽氏。その中華服は……さては魔法少女ちゅうかなパパイヤのコスプレでござるな?かなり完成度が高いね。ちょっと写真撮らせてもらっていいかな?」
パシャパシャと謎の撮影会が始まる。神楽は恥ずかしそうにしながらも何枚も写真を撮られていた。
「すごい……これはすごいでござる。後で海氏にも見てもらうでござるよ」
「つうかあの……土方さん」
「なんだい?志村氏」
一頻り写真撮影を楽しんだあと、新八に声をかけられて土方は大人しくソファへと座る。
「あの……仕事はどうしたんですか?昼間からこんな所ぶらついて」
「仕事?ああ、真選組ならクビになったでござる」
「えーっ!?真選組辞めたの!?なんで?!」
「うーん……まぁつまらない人間関係とかイヤになっちゃってね。危険な仕事だし。大体、僕に向いてなかったんだよね。元々、僕は第一志望アニメ声優だったしね」
「そうなの?そうだったの?」
「まぁ、今は働かないで生きていける手段を探してるって感じかな」
「ちょっと待て、じゃあお前海はどうしたんだよ」
土方がクビになったということは副長が空いたということになる。となれば副長補佐である海はどうなるんだ。
土方に質問をぶつけてみたが、不思議そうに首を傾げていた。
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