第48幕(微裏)
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「そんなにアイツがいいのかよ」
『晋助?』
「なんでもねェ。とっととこっから出るぞ」
グイッと腕を引っ張られて立ち上がらされる。羽織りの前をきゅっと締め、ちゃんとここを掴んでろと晋助に言われ、両手で羽織りの前を掴む。
海の腰に腕を回して歩き出す。
部屋を出ると、船員達が何やら慌てた様子で走り回っているのが見えた。口々に侵入者がいると言っている。
『晋助バレたんじゃ……』
「さぁな。だったらここから逃げるまでよ」
にやりと笑うその顔はいたずらっ子のような笑み。よく子供の頃に晋助がしていた笑い方だった。
『お前楽しんでるだろ』
その言葉に返答はなかったが、どっからどう見ても楽しんでいるように見える。
曲がり角で一旦止まり、左右を確認してから曲がる。それを何回か繰り返しているうちに船内部から甲板の方へと出た。そこには大量の天人。
「おい……てめぇらか。こそこそ嗅ぎ回ってんのは」
「あ?あいつ、この間来た玩具じゃねぇか!てめぇ、何逃げてやがる!」
天人達が海達に剣を向ける。丸腰で、しかも羽織り1枚しか身につけていない状態では逃げるはことしか出来ない。そんな海を晋助は背に隠した。
「下がってろ」
『でも、いくら晋助でもこの数は……』
「いいからてめぇは黙って下がれ」
とんっと肩を押されて後ろへと下がる。
晋助へと向かってくる天人。刀を抜いて次々と切り伏せていく晋助の後ろ姿を海は黙って見つめていた。
晋助が刀を振るうのを見るのはいつぶりだろうか。綺麗な太刀筋で天人を倒していくのを見逃さないように見やる。
その時、背後に感じた気配に振り向きその場から飛び退こうと足に力を入れた。
「おい……誰があの部屋から出ていいって言ったよ……ったく……てめぇ、船長やりやがったな?あ?」
『ぐっ……あ……』
飛び退くよりも先に首を掴まれて絞めあげられる。天人の頭へと足を振り上げるが、ぶつかる前に足を掴まれ抵抗は虚しく終わった。
「はっ……この格好もいいじゃねぇか。おら、足開けよ、ここで犯してやる」
掴まれた右足を持ち上げられて大きく開かされる。薄れていく意識の中、晋助の叫ぶ声が聞こえる。そして薄らと聞こえた声。その声が聞こえたと同時に床に落とされた。
「おい……てめえ誰のモンに手ぇ出してんだ」
『っは……』
「海……大丈夫か?って、大丈夫じゃねぇか」
『ぎ、んとき?』
「ごめんな、遅くなって」
『なんでここに……』
「助けに来た。じゃ、ダメか?」
驚きに目を開き銀時を見つめる。銀時は苦笑いを浮かべながら困ったように頭をガシガシとかいた。持っていた木刀を腰へと戻し、倒れている天人を飛び越えてこちらへとやってくる。
座り込んでいる海の前に膝をついた瞬間、銀時の眉間に深いシワが出来た。
「……帰ったら風呂だな。まずは」
『……悪い』
「俺が海を守れなかったのが悪い。ごめんな、こんなことになっちまって」
『銀時のせいじゃない。俺が考え無しにやったせいだ』
「俺が弱かったから海がこんな目に……い!?」
落ち込む銀時の横へと突き刺さる剣。頬すれすれに刺さった物へと目を向けると、血がどろり付着していてぽたぽたと足元を濡らした。
「おい。そんなとこで喋ってんなら手伝え」
「なんでお前がここにいんだよ!!今度会ったらてめー、ぶった斬るって言ったろ!!」
「あ?知らねェなぁ」
「はぁぁ!?お前どんだけ物覚え悪いの!?」
「うるせェ。それよりもこいつらどうにかしろ」
「~~~っ!」
まだ文句の言い足りない銀時は素知らぬ風の晋助を見て歯噛みする。だが、現状天人に囲まれている状態。ちらりと海を見てから木刀を手にして立ち上がった。
「休戦!一時休戦!!」
「間違って斬られねェようになァ?」
「お前も殴られねぇようにな!!」
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