第48幕(微裏)
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「これが頼まれていたものでござる」
「あぁ。間違いねぇな」
万斉と天人のやり取りを煙管を吹かしながら高杉は天人が乗ってきた船を眺める。
やはり天人と関わりを持つのは気分が良くない。なんてことを頭の片隅で思いながら黙っていた。
今回、天人に頼まれていたのは以前、春雨が取り扱っていた転生郷の代わりになる薬。この薬の効果はもう確認済みで、その報告も兼ねての取引だ。
「もう薬が抜けた頃か……クク……可愛いかったけどなァ」
最初に薬を使った時のことを思い出して笑みを浮かべる。記憶が飛んだ時は一手間かかったが、それでも自分の胸の中にあった温もりは確かにあった。
もう一度あの温もりがこの手に入るなら。
海の周りが壊れようと、国がぶっ壊れようと知ったこっちゃない。
「晋助、こちらは終わったでござる」
「あァ。終わったならこんなところとっとと出るぞ」
「先程気になる話を聞いたのだが」
「あ?それは俺に関係のねェ話だろ」
万斉は少し考え込んでから再度口を開く。
「いや、大いに関係のある話だな」
「は?」
「最近、新しい玩具が手に入ったと言っていた。その玩具の特徴が晋助の昔馴染みに似ているような気がするのでござるよ」
「……言え」
怒気を含んだ一言。万斉はその声にひくりとと喉を鳴らす。
「黒髪に漆黒の瞳、とても美人な顔立ちをしているらしい」
「……なんであいつがここにいんだ?」
「晋助!どこに行くでござるか!」
「万斉、この船を追ってこい。俺ァちょっと散歩してくる」
煙を吹かしながらペタリペタリと天人の船の中へと入り込む。先程取引を行っていたばかりだというのに警備は手薄だった。
自分たちが舐められているのか、それとも立たせるだけの天人がいないのか。
そんなことよりも今は海のことだ。あれは地球に置いてきたはず。それなのに何故外に出ているのか。ましてや天人の船に乗っているだと?
「あのバカは一体何してんだ」
高杉の知る限りでは、海は裏切るような人間では無い。真選組にいることは気に食わないが、天人の船に乗っているなどもっと気に食わない。
それに海が進んで自ら船に乗るなんてこと有り得ないだろう。
「(攫われるようなタマでもないだろう)」
そこらの天人に負けるほど弱くは無い。ならば海がここにいる理由はなんだ。
「とりあえず見つけて連れていくか」
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