第47幕
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「最近、女子供の誘拐事件が多発していてな、監察の人間に調べてもらっていたんだが……思わぬことが発覚した」
「思わぬこと、ですか?」
ソファに座る土方と近藤にお茶を出す新八。新八はお盆を膝に乗せて神楽の隣に座る。
「あぁ。誘拐に幕府の人間が関わってやがった。しかもかなりの大物が」
「名を西ノ宮 宗太郎。代々、天皇家に仕えていた家系だ。今では天皇から天人へと移り代わったがな」
「西ノ宮って……」
「朔夜の父親だ」
そう言って土方はタバコの灰を灰皿へと落とす。幕府の人間が事件に関わっているなど見過ごせない事態。土方は眉間にシワを寄せて不機嫌そうに口を開く。
「西ノ宮は天人との貿易を担っている。天人から軍事物資を買い取り、その代金として人身売買に手を染めてたってわけだ」
「まさか誘拐事件の首謀者って……」
「西ノ宮 宗太郎だ」
新八は土方の言葉に絶句する。朔夜の父がそんなことをしていたなんてと。そして朔夜の父ということは海の父でもあるということ。
父親と息子。やっていることが全くの真逆。民を守ろうとしている海と、人の命を道具としか思っていない西ノ宮。そんな父親からよく海が生まれたものだ。
「親父がこんなでも息子は真っ直ぐ育つもんなんだな」
海は西ノ宮に育てられたとは思ってはいないだろう。西ノ宮から与えられたのは恐怖と痛み。しつけと称して虐待を繰り返し行われていたのだから、教育というものをされたことは無い。
全て、松陽のところに来てから学んだことだ。読み書きも箸の持ち方も人との接し方も。海は銀時と共に松陽から学んだ。
海があのように育ったのは松陽の元に来れたから。母親が海を連れて逃げ出すことをしなかったら……きっと今頃海はこの世に居なかった。
「本当にアイツは良い子に育ったよ」
自分と共に育ったというのに。海は真っ直ぐに育ってくれた。松陽が見たら泣いて喜ぶかもしれない。
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