第46幕
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西ノ宮の車で真選組屯所まで送ってもらい、屯所の中へと入る。庭で山崎がミントンしていたのを見つけて声をかけた。
『山崎』
「あれ、海さん?おかえりなさい!今日は遅かった……どうされました?」
『近藤さんはいるか』
「え、あー、今は自室にいると思いますけど……海さん?」
『そうか。わかった、ありがとな』
「いえ……」
訝しげな表情をしている山崎の横をすり抜けて近藤が居る局長室へと向かう。その間、他の隊士に出会うことなく行けたことにホッと胸をなでおろした。
『近藤さん、桜樹です』
「海?いいぞ、入ってくれ」
静かに襖を開けて部屋の中を覗くと、刀の手入れをしていた近藤と目が合う。いつもと変わらない優しい目に思わず視界が緩みそうになった。
「どうしたんだ?急に」
『突然の事で申し訳ない。真選組を除隊させて欲しい』
その場に正座して頭を下げて頼みこむ。こんな勝手なこと許されるはずがない。そんなこと百も承知だがそうするしかないのだ。
「海、一体どうしたんだ?抜けさせて欲しいってどういう意味だ?」
『説明は……出来ない。普通に除隊出来ないのであれば、局中法度を破った事により追放にして欲しい』
「待て待て待て!そんなこと出来るわけないだろ!ちゃんと理由を教えてくれ。まさか城で何か言われたのか?」
『ごめん……何も話せないんだ』
「それじゃ海を除隊させることは出来ねぇよ。何があったんだ?もしやお父君となんか──」
『西ノ宮は関係ない!!』
近藤の言葉を遮るように声を荒らげる。これ以上詮索されては面倒だ。
こんな事はしたくなかったけど仕方ない。
『近藤さん、悪い』
「海!お前ッ……!」
手入れされていた近藤の刀を手に取って切っ先を近藤の喉元へと突きつける。そしてこちらに近づいてきている足音がこの場に現れるのを待った。
「近藤さん、海が帰ってきてねぇんだが今日の見回りは──」
「ト、トシ……」
「おい……これはどういうことだ」
『見た通りだ。悪いけど俺はもう真選組を抜ける。お前らのやり方に付き合いきれないんだわ』
「てめぇ何言って……」
書類を片手に局長室に現れた土方は目の前で起きている状況に目を丸くさせ固まる。
『今まで付き合ってきたんだ。これくらい……』
「海」
『俺は……もうお前らに……』
「海、やるならちゃんとやりきらねぇと。そんな顔されちまったら信じられないだろ?」
首元に刀を突きつけられているというのに近藤は怯えもせずにただ笑った。
「そんな泣き顔で言われたって怖くねぇよ」
『こん、どうさ……』
震える手から刀が滑り落ちそうになり、それを土方が受け取る。
「何があった。お前がこんな事するなんて相当だろう」
ぼろぼろとこぼれ落ちる涙を土方が拭おうとしたとき、外から騒がしい声が聞こえてきた。
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