第46幕
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「海、言ったよね?今日中に真選組を抜けてきなさいって」
『それがどうした?そんなこと言われて、はいそうですかで抜けると思ってんのかよ』
監禁状態で苛立ちが高まっている海は西ノ宮へと怒りの矛先を向ける。そんな海に西ノ宮は苦笑いを浮かべた。
「海、私の言うことを聞いてくれないのかい?」
『こちらの話は聞かねぇのになんでお前の要求に従わなければならない』
「……昨日のこと忘れちゃった?」
肩をどんっと押されてベッドへと倒れ込む。足を広げられてその間に西ノ宮が身を滑らせる。見下げてくる相手を睨みながら足に力を入れて蹴り飛ばそうと構えた。
「それともちゃんとこの体に叩き込まないとダメ?海に選択肢なんてないんだよ?」
『ふざけんな……今すぐこれを外せ』
「はぁ……いいよ。わかった。そんなに言うなら外してあげる」
そう言って海を縛っていた手枷が外される。痛む手を擦りながら西ノ宮から離れようとしたが、ドアの前に居た男らに腕を押さえつけられて床に膝をつかされる。
「海にねお土産があるんだ」
『は?』
「いいからいいからこっちにおいで」
グイッと男たちに引っ張られるようにして部屋を出る。廊下を無理矢理歩かされ辿り着いた先は何も置かれていない部屋。その部屋に入った途端、血の匂いが鼻をついた。
「海の為に連れてきてあげたよ。坂田くん」
『……ぎ……んとき』
「今はまだ眠ってるみたいだけど、そろそろ目を覚ますんじゃないかな。彼ね凄いんだよ?海との縁を切れって何度も言ってるのに聞かないんだ。だから──」
いっぱい遊んじゃった。と笑う西ノ宮。
両手首に嵌められた錠、それは壁へと鎖で繋がれている。膝立ちで項垂れるようにしている銀時は意識がないのか動くことは無い。いつも着ている白い羽織りは真っ赤に染まり、所々切れている。少しだけ見える顔も切り傷が至る所に見えた。
『な、んで……なんで……なんで銀時に手を出した!!!!』
見せつけられている光景に激昂して西ノ宮に掴みかかろうとするも、海の腕を掴んでいる男らに捻り上げられ痛みで力が抜けた。それでもどうにかして西ノ宮に報復しようと藻掻く。
「だって海が言うこと聞かないから。昨日言ったでしょ?坂田くん殺しちゃうよ?って。冗談だと思ったの?」
『ふざけるな!アイツは関係ないだろ!』
「関係あるよ。だって君、あの子のこと好きでしょ」
『は……』
その間がダメだった。すぐに違うと否定していればよかった。戸惑う海の表情に西ノ宮は確信を得たように緩く微笑む。
「いつも一緒にいるし、海に何かあれば彼はすぐに飛んでくるだろう?海を襲わせたときなんかまるで白馬の王子様みたいに助けに来たそうじゃないか。そんな彼の事が好きなんでしょう?守るために突き放しちゃうくらいに」
全部見られていた。いや、西ノ宮が直接見ていたのでは無い。全て時野からの報告を聞いてそう思ったのだろう。
銀時を突き放したくらいでは守れなかった。
『(どうすれば良かった?いっそのこと無視して関係を絶てばよかったのか?)』
今更考えても後悔しか出てこない。銀時に甘えてしまったが故に起きてしまったこと。こうなってしまったのは海の甘さだ。
「ちゃんと言うこと聞いていればこうならなかったんだよ。彼のことが大事ならもうやること分かるよね?」
『てめぇだけは……ぶっ殺すッ』
「そう。まだそんな反抗的な目をするんだ。それなら仕方ないね」
西ノ宮がスっと手を上げる。側で控えていた男はそれを目視すると手に棍棒を持って銀時の方へと歩を進める。
『やめろ!!!』
「やめさせて欲しいならどうするべきか分かってるよね?」
もはや海に残された選択肢は一つしかない。傷だらけの銀時から目を逸らし、唇を強く噛み締めながら力なく項垂れた。
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