第44幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……おはよう」
『おはよう、銀』
起きていると思わなかった銀時は一瞬虚を突かれて固まった。そんな銀時を怪訝そうに見つめる海に慌てて声をかけると、気の抜けた顔で海は笑った。
「よく寝れましたかな?」
『なん……とか?』
渋い顔をするところあの悪夢を覚えているのだろうか
。
「そ。俺としては海の可愛い寝顔が見れたから良かったけどなぁ」
『見てんじゃねぇよ変態』
「一緒に寝てるんだから目に入るでしょうが。すやすや寝てる海は可愛いかったなー」
小馬鹿にしたように笑って見せれば、海は恥ずかしそうに顔を赤くさせて銀時の腹部を殴りつけた。
「い"!?」
『寝言は寝て言えクソ天パ…………?』
「え?なに?」
起き上がって銀時を睨みつけていた海が銀時の目を見て固まった。どうしたの?と首を傾げれば、海の眉間にシワが刻まれていくのが見えた。
『お前まさか……寝てないんじゃ』
「何言ってんの?寝たに決まってんじゃん。昨日、久しぶりに仕事があってクタクタだったんだから。もうそりゃぐっすりと寝たわ。海っていう抱き枕もあったことだし?」
それでも海は苦々しい顔で銀時を見つめる。
そんな張り詰めた空気を壊したのは神楽の銀時と海を呼ぶ声。
「銀ちゃーん、海ー。ご飯出来たアルヨー」
「ほら、呼ばれてんぞ?」
神楽の声を聞いても動き出さない海に苦笑いを浮かべた。じっと見つめてくる目から逃げるように銀時は身体を起こし、寝巻きを脱いでいつものジャージへと着替える。
「アイツら迎えに来るんだろ?海も着替えておけよ」
『なぁ、銀時』
「なに?」
『俺はお前の負担になってないか?』
「……は?」
『俺のせいでお前に嫌な思いさせてないか?』
「んなことねェよ。なんでそう思ったんだよ」
流水紋の着物を羽織ってから海の前へとしゃがみこむ。海は俯いて畳を睨みつけるように見ていた。
『ずっと起きてたんだろ』
「だからちゃんと寝たって言っただろ?」
『じゃあそのクマはなんだよ』
「いつも昼頃まで寝てるから寝足りねぇんじゃねぇの?夜中はちゃんと寝てたから安心しろよ」
『そんなハズないだろ』
首を横に振る海に銀時は小首を傾げた。
『俺が魘されて起きた時……お前起きてたじゃねぇか』
「覚えてんのかよ」
『お前が……大丈夫だって、言ってくれたから……俺はそのまま眠れたけど……銀時は?あの後ちゃんと眠れたのかよ』
俯いていた顔が上がり、海は真っ直ぐ銀時を見据える。その目で見られてしまえばもう言い逃れは出来ない。ちゃんと言え、と言葉もなく問い詰められている気がした。
本当のことを言ってしまったら海は確実にまた距離を置こうと考えるだろう。かと言ってこのまま黙り続けていても海は悟ってしまう。八方塞がりの状態に頭を抱えたくなった。
『銀時、俺はお前には迷惑かけたくないんだよ』
「なんで?俺は別に気にしてねぇし、ましてや迷惑なんて思ってねぇよ」
『お前がそう思ってても俺が嫌なんだよ』
「そんなに俺に頼るのが嫌?」
『そうじゃない。銀時を困らせたくないから。銀時には……』
「俺には?」
言い淀んだ海はその先の言葉を発することは無かった。続きを聞こうと口を開いた時、新八の慌てた声が寝室へと響いた。
.