第44幕
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『……銀……?』
ぱちりと目を開けた先に見えたのは木目の天井。
ここはどこだ?と不思議に思いながら横へと頭を動かすと、すぐ傍には腕を組んで俯いている銀時が居た。
声をかけてみるも反応はない。あぐらをかいている足へと手を伸ばし指先で膝をつつく。それでも銀時は俯いたままだった。
『こんなとこで寝てたら風邪ひくだろ』
よく見れば銀時の目は閉じられていて、微かに寝息が聞こえた。
身体を起こして銀時の頬へと触れる。
『久しぶり、だな』
突き放してから銀時とは顔を合わせなかった。なるべく銀時とはなんの関係も無いように見えるように。
それなのに。こうして海は銀時に縋ってしまっている。襲われた時に一番に助けを求めた先は銀時だった。
もうこれでよく分かった。自分の中でどれだけ銀時の存在が大きいのか。
海にとって銀時がどれだけ大切な存在なのか。
『俺、お前のこと好きみたい』
好きの度合いがイマイチ分かっていない為ハッキリとは言えないが、好きなのには変わりない。
友人として好きではなく、銀時として、男として好き。
『ごめんな』
眠っている相手に言うべき言葉ではないが、こうして言葉にすると胸の内がスッキリとした。
ずっと渦巻いていたものが一気に晴れていく感覚。今まで悩んでいたのが嘘みたいだった。
「ん……」
『銀時?』
「海……?」
ゆっくりと瞼が開いて赤目の双眼が海を捉える。
眠そうな顔の銀時に優しく微笑んだ。
「海、海」
『どうした?』
銀時の頬を触れていた手が掴まれてぐいっと引っ張られた。相手の胸へと飛び込む形となり、海は銀時に抱え込まれた。
『おい、お前寝ぼけてんのかよ』
肩口にぐりぐりと押し付けられる頭。ふわふわの髪が頬と耳にあたって擽ったい。
「俺から離れないで……」
『銀時?』
「守るから。だからどこにも行くな……」
行かないで。と消え入りそうな声が聞こえた。
『どこにも行かねぇから。ずっと傍にいるから』
銀時の背中へと腕を回して抱きしめる。大丈夫だからと安心させるように背中を撫でれば、銀時の身体がピシリと固まった。
「あ、あの……海さん……?」
『起きたか?』
「え、え?あれ?なに?この状況は」
『寝ぼけて俺に甘えてる状態』
鼻で笑って教えてやれば、銀時は慌てて海から離れた。
「な、なんで海も普通に抱きしめてるワケ!?そこは突き放すとかなかったの!?」
『突き放しても良かったのか?』
「いや、それはなんか寂しいというかなんというか……」
『別に俺はどっちでもいいけどな』
もういいのか?と腕を広げて待ってみたが、銀時は顔を赤くして「もういいです!!」と叫んだ。
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