第43幕(微裏?)
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おい……テメェら……」
「あ?なんだおま……ぐあッ!」
「な、なんだ!?」
ずるりと口の中から男のが抜けて、海は必死に口の中のものを外へと吐き出した。
いつの間にか馬乗りになっていた男は消え、動けるようになった身体を起こし、飲み込まないように口の中に溜めていたものを必死に地面へと吐き散らかした。
だから気づかなかった。海の姿を見て驚き、憤怒に顔を染めた銀時がいたことに。
「坂田さん!」
「なにヒトのモンに手ェだしてんだよ」
「だ、誰だお前!!」
「うるせェッ!!!」
ゴンッ、と固いものがぶつかり合う音が辺りに響く。その音で漸く海は顔を上げて銀時の方を見た。
『ぎ……と……』
銀時の足元に転がるのは先程海に馬乗りになっていた男。朔夜を人質に取っていた男は既に地に伏していて、口から泡を吹いていた。
『ぎん、とき』
逃げようとする男へと木刀を振り下ろそうとする銀時の後ろ姿。それはまるであの戦場で見た銀時に似ていて。天人を容赦なく殺そうとしていたかつての銀時のようで。
『銀時ッ!!!!!!!』
咄嗟に銀時の名前を叫んだ。木刀は男の頭へと当たる直前に止まる。青ざめ顔で座り込んだ男は銀時の顔を見上げて失禁していた。
『俺は……大丈夫だから』
こちらを見ようとしない銀時に海はぽつりと呟いた。
「どこが大丈夫なんだよ。ンなことされて何が大丈夫なんだよッ!!!!」
銀時が本気で怒っているのが肌で伝わり身がすくんだ。
『銀……』
「それともなに?俺が知らない間にこういう事するようになったワケ?」
『ちが……!』
「ならなんでコイツら庇うんだよ。庇う必要なんざねェだろうがッ!」
『庇ったのはそいつらじゃない!!』
「……は?」
泣き叫ぶように言えば、銀時は漸く海の方を振り向いた。こんな姿を銀時に見られるわけにはいかないと、体を捻って今度は海が銀時に背を向けた。
「誰を……庇ったの」
その問いに海は答えることなく沈黙が漂う。
コツコツと近づいてくる靴音に身体が震えた。
「海、」
『こっち……見んな』
銀時から離れようと腰を上げるも、中途半端に脱げているズボンのせいで足が縺れて前のめりに海の身体が倒れていく。その身体を支えたのは銀時の腕。
「悪い……怒鳴って」
そのまま銀時の腕の中へと海の身体は収まった。
『大丈夫、だから』
「大丈夫じゃない。俺が嫌なんだよ」
『なんでだよ……』
抱えられながら銀時の顔を見上げれば、自分以上に苦しそうにしている目と合った。
「遅くなってごめんな」
何度も何度も謝る銀時に海は漸く自分が男たちにされた事を自覚した。
『……俺……汚れて……』
汚れてるから触るな。そう言いたかったのに言葉にならなかった。目の前の男に、銀時に知られたくなくて。青ざめた顔で首を横に振ってボロボロと涙を零した。
「ごめん。嫌な思いさせてごめん」
泣き出した海を銀時は強く抱きしめ、銀時も瞼に涙を溜めた。
.