第43幕(微裏?)
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大通りから路地裏へと入る男たち。明るい通りから薄暗い道へと足を踏み込む。淀んだ空気に眉をしかめ、海は腰にある刀に手を置きながら路地裏の先へと進んだ。
『おい、大人しくしろ』
進んだ先はゴミ溜りの一角。行き止まりとなった場所で男たちは身を寄せあっていた。
「こ、ここでいいんだよな!?」
「た、多分……」
『何話してんだよ。あの女性から盗ったものを返せ』
こそこそと耳打ちしている男たちに海は右手を出す。女性の鞄を持っていた男は鞄を海へと投げつけるように返した。
盗られたものは返してもらった。後はこの男共をひったくりの容疑で捕まえればいい話。懐から手錠を取り出しながら一歩、また一歩と男たちの元へと歩み寄る。
近づいてくる海に焦りの色を見せる。そんなに怯えるのであれば最初からしなければいいのに、と呆れながら海は男の手を掴んで手錠を掛けようとした。
「兄さん!」
手首に手錠を掛けて鍵をかけようとした時、後ろから朔夜の声が聞こえて振り返った。
『なんでついてきたんだよ。あそこで待ってろって言っただろ』
「兄さんのことが心配で……!」
『ひったくり捕まえるくらいで何を心配すんだよ』
どれだけ自分は頼りなく見えているのか。何ともない海を見てホッと安心したように笑みを見せる朔夜に冷めた視線を送る。
手錠を掛け直そうと男の方へと振り向こうとした海の横を通り過ぎていく影。
「お、大人しくすんのはお前の方だ!!」
「ひっ……」
三人の内の一人が半狂乱になりながら朔夜の首に腕を回して締めあげる。突然喉を締め付けられた朔夜は苦しそうに顔を歪めていた。
「こいつは人質だ!」
『……はぁ』
素手だけならなんとかなると思っていたのだが、男が朔夜を締めあげながら取り出したのは小刀。切っ先を朔夜の顔に突きつけているのを視界に捉え、海は手にしていた手錠を地に落としてため息をついた。
「お前ら!分かってるよな!?手順通りにやれよ!?」
「わ、わかった!」
手順通りという言葉が聞こえ、この茶番は最初から計画されていたものだったのかと悟った。男たちは海が落とした手錠を広い上げ、海の手首へと掛けた。
「刀も取れ!」
「お、おう!」
朔夜を人質にしている男から指示を受け、海に手錠を掛けた男が腰から刀を引き抜き地面へと投げ捨てた。他に武器はないかと海の身体をペタペタと触って確認し、何も出てこないことを知ると強気な姿勢になった。
「へ、へへ……アンタも可哀想なヤツだな」
『何が目的だ』
後ろ手に拘束されながらも焦ることなく平静を保ち続ける姿に男は目を丸くし、不機嫌そうに海を睨みつけた。
「目的だァ?そんなもん……」
下卑た笑みを浮かべ始めた男に嫌なものを感じ、男から離れようと後ずさった。
海へと伸ばされる手。その手から逃げるように身体をよじったが、もう一人の男に背中を押されてしまい逃げることは叶わなかった。
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