第42幕
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「海くーん!出来たよー!」
『ん……』
「大丈夫ですかィ?」
「兄さん平気?」
『ん、』
ご飯が出来るまでの間、うとうとしていた海。名前を呼ばれているのにも関わらず、海は椅子から動こうとしない。今にも寝落ちてしまいそうな海を見た総悟は椅子から腰を上げた。
「自分が取ってくるんで朔夜は海さん見ててくだせェ」
「え、それなら僕が行くよ!」
「他の隊士たちがいる中、零さずに持ってこれるのか?」
「うっ……」
海たちが来た時よりも賑わっている食堂。その間を通り抜けるのも一苦労しそうな感じに朔夜は苦笑いを浮かべた。
「自分のを頼むついでに持ってきてやるから朔夜はここで待ってな」
「ごめんね、総悟」
「気にする事はねェよ。こんな状態の海さんに行かせるわけには……」
眠そうにしている海へと目を向けたはずだったが、そこには海の姿がなかった。
「海さん?」
どこに行ったのかと周りを見渡すと、食堂のおばさんと話している海の後ろ姿。いつの間に彼はご飯を取りに行ったのか。
「全然気づかなかった……」
「俺もでさァ」
音もなく海はこの場を離れた。その事にひやりとしたものを感じながら二人は海が戻ってくるのを待った。
「そうだ……ねぇ、総悟。剣の使い方を教えて欲しいんだけど」
「剣のですかい?」
「うん。刀の使い方を覚えて、兄さんみたいになりたいんだ」
「へえ。兄貴の背を追いかけるなんざ弟らしい発言じゃねぇか」
「突然話に割り込んでくんじゃねぇよ土方コノヤロー」
総悟の後ろから出てきた土方が朔夜へと話しかける。土方が総悟の隣へと腰を下ろした時に海も朔夜の元へとお盆をおろしていた。
『ほら、これ』
「ありがとうございます!わぁ……美味しそう……」
ほかほかと湯気の立つ味噌汁。ちょこんと置かれた沢庵と綺麗に焼かれた鯵。ご飯に海苔にと一般的な和食定食が朔夜の前に置かれていた。
「いただきます!」
朔夜が味噌汁へと手を伸ばして口に含む。ふにゃりとした顔をした朔夜。それを横目で見ていた海は、優しげな顔をしていた。
「美味しい……すごくあったかい」
『そりゃようございました』
「うん!こんなに美味しいんだね」
初めてご飯を食べたかのように感動している朔夜に総悟と土方は怪訝そうにしていた。朔夜の言葉の意味を知っていた海だけが苦々しい顔で天井を見上げていた。
『……ここにいる間は色んなもん食っとけ。わからなかったら俺や総悟、あとそこの瞳孔開きすぎマンに聞けば教えてくれっから』
「おい!なんだその名前は!なんで俺だけそんな呼び方なんだ!」
「これからよろしくお願いします!瞳孔開きすぎマンさん!」
「ちょ、おいィィィィ!!!俺は瞳孔開きすぎマンじゃねぇ!!土方 十四郎だ!!」
「朝から騒がないでくだせェ、瞳孔開きすぎマン」
『食事中くらい静かに出来ねぇのか瞳孔開きすぎマン』
「上等だ!!てめぇら腹キレェェェ!!」
『だからこっちは飯食ってるって言ってんだろうが!』
「ごふッ!?」
ただでさえ二日酔いで頭が割れるように痛いのに、近くで土方が騒いでいるせいで更に痛みが増した。騒ぎ散らす土方目掛けて海は足を振り上げて蹴り飛ばす。土方は食堂の壁へと背中を打ち付けて倒れ、近くにいた隊士に驚かれていた。
「兄さん……かっこいい」
「ざまぁ、土方」
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