第41幕
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『もういいよ』
「出てくるなって言っただろうが」
『お前らが喧嘩してまで庇われることはない』
「別に喧嘩なんかしてねぇよ」
気まづそうに顔を逸らしせば、海は小さくため息をついて銀時の隣へと立った。
『してるだろ?ごめんな、俺のせいで』
「海のせいじゃない」
朔夜に見られぬようにと海を背に隠そうとしたが、それを避けるように海は一歩前へと出た。
「海さん……」
『ダメだろ?新八、神楽。銀時と喧嘩したら』
「ごめんなさい……」
「でも、銀ちゃんが!」
『俺が頼んだんだよ』
「海が?」
『俺が弟に会わせないでくれって。今回の依頼を破棄してくれって頼んだんだ』
違う。
『だから銀時を悪く言わないでやって』
違う、違う。
『俺がわがまま言っただけだからさ』
違う!!!!
ごめんな、と謝る海の腕を掴んで自分の元へと引き寄せる。こちらを見た海はもう何もかも諦めた顔をしていた。
そんな顔をさせてしまったのは自分で、こうならないようにとしたはずなのに結局はこうなってしまって。海を守るためにした事は全部裏目になってしまって。そんな自分が嫌になった。
『なんでお前がそんな顔してるんだよ』
悲しそうに微笑む海が銀時の頬へと手を伸ばし触れる。頬を摩る指先があまりにも優しくて、一段と虚しくなった。
慰めなくてはいけないのはこちらなのに。逆に慰められていては意味が無いじゃないか。
『正真正銘、俺はそいつの兄貴だよ』
「え……」
反応を示したのは新八たちではなく、今まで静観していた朔夜。
『西ノ宮 海。それが俺の名前』
銀時の頬から手を下ろし、海は新八たちの後ろにいる朔夜へと振り返る。新八に背を押されて前へと出てきた朔夜は戸惑いがちに海の名前を口にした。
「海……さん」
『ん?』
「本当に貴方が……あの写真の……!」
『本人、だな』
海を見て泣きそうな顔で笑う朔夜。
それと打って変わって、海は利き手の右手を固く握り締めていた。
「これで分かっただろう。もう帰んぞ」
何かを耐えるような仕草をする海をもう見ていられなくて、海と朔夜の間へと身を滑り込ませる。
まだ話し足りないと言いそうな朔夜の肩を押して自分も歩き出そうと足を踏み出したとき、背中へと何かがぶつかった。
僅かに震えているそれが海の頭だと気づくのにそう時間はかからなかった。
「おい、そこで何してる」
「ゲッ、マヨラー」
「あ?テメェら……」
騒ぎを聞きつけてきたのか、土方と総悟が屯所から出てきていた。まためんどくさいのが増えてしまった。早くここから朔夜を引き離したいのに。
「海、てめぇそんなところで何してやがる」
「あー……多串くん?ちょっとこの子今疲れてるからあんま構わないでやってくんない?」
「誰が多串くんだッ!」
名前を呼ばれてぴくりと震えた海。未だに背から離れようとしない頭。
この状況をどうすべきかと悩み始めた銀時の手を誰かが引っ張った。
『土方、悪い。後で説明する』
「あ!?今説明しやがれ!お、おい!どこ行くんだよ!」
『見回り』
海は一言土方に告げてから銀時の手を掴んで走り出した。
「海!?」
『悪いけどちょっと付き合ってくんないか?』
「それは別に構わねぇけど……」
屯所から逃げ出すように離れ、銀時たちは近くの公園へと入った。
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